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中国ドラマ「ロング・ナイト 沈黙的真相」感想~巨大な悪に信念で立ち向かう本格的なサスペンス

「ロング・ナイト 沈黙的真相」 沉默的真相 2020年 爱奇艺

★★★★★

ガツンとくる本格的なサスペンスです。

出だしから謎の多いストーリーですぐに集中できました。緊張感もずっと続き最後まで飽きることのないとても面白いドラマでした。話数が短めなので一気見もお薦めです。

登場人物が多く関係性が複雑なので最初は大変でした。それでも人物一人一人は丁寧に描かれ、展開も比較的ゆっくりなので段々と繋がりが整理されます。

次から次へと変化する状況の中で人間関係はかなり複雑なのですが、余計なことが描かれていないので解りにくいとは感じませんでした、また内容にも違和感を感じることもなく良く練られた作品だと思いました。

ただ過去と現在が行ったり来たりするので最初は多少混乱しましたが、年代が入るのと登場人物がはっきりと分かれるので、次第に慣れて意外とスムーズに見られました。こういった点でも良く出来たドラマだと感じました。

何度打ちのめされても諦めず立ち上がり、大きな悪と戦う彼らの姿には心を揺さぶられました。彼らの気持ちが痛いほど伝わってくるので一緒に怒り、絶望も味わい辛かったです。

キャストは誰もが演技派で素晴らしかったのですが、やはり主人公と言うべきジアン・ヤン(江陽)を演じた白宇(バイ・ユー)の表現力に目を奪われました。

特に最終回は号泣でした。最後の最後まで泣かされましたが、後味は悪くないです。そういう意味でも素晴らしい作品だと思います。

見応えのあるサスペンスドラマでもあり、正義と信念を描く社会派ドラマでした。

画像:baijiahao.baidu.com

イエン・リヤン(厳良)=廖凡(リアオ・ファン)
ジアン・ヤン(江陽)=白宇(バイ・ユー)
リー・ジン(李静)=譚卓(タン・ジュオ)
ジャン・チャオ(張超)=宁理(ニン・リー)
ジャン・シャオチエン(張暁倩)=黄堯(ホアン・ヤオ)
 ジュー・ウェイ(朱偉)= 趙陽(ジャオ・ヤン)

2010年、地下鉄で爆弾騒ぎ「地下鉄事件」を起こした犯人の持っていたスーツケースから元検事ジアン・ヤンの遺体が発見された。

その場で逮捕されたジン・チャオは地元では有名な弁護士。金銭トラブルの末の殺害だと容疑を認めながらも、あいまいな供述をしている。

遺体を調べた検視官もあまりに完璧な証拠に違和感を持っていた。また刑事のレンは犯人ジン・チャオの法学部教授という経歴や被害者が彼の教え子だった事から、単純な事件ではない何かもっと別の狙いがあるのではと疑う。

そして法廷でジン・チャオはそれまでの供述を突然覆し、自分は誰も殺していないと言う。

世間の注目を集めるこの事件のために、数々の難事件を解決した敏腕刑事イエン・リヤンが投入される。

イエン・リヤンにジン・チャオは不思議なことを言う。24日以内にこの事件を解決できれば、24日目にすべての真相が明らかになると。

ロング・ナイト 沈黙的真相 - NHK

以下ネタバレあります。

とにかく物語の緻密さと演技派の俳優さん達のお陰で完成度の高い作品です。チャラチャラしたところはなく全体的に暗めだし内容もシンドいのですが、こういうドラマを見せられると出来栄えにただただ感服するのみです。

吹き替えで放送でしたが、副音声と字幕で見ていました。内容が複雑だったので、字幕で見て正解だったなと思います。私は文字で見たほうが頭に入りやすいので。

まずは出だしにジン・チャオが殺人の容疑で捕まるのですが、この人が非常に有能な弁護士であるということで意表をつかれました。そんな風に見えなかったし・・。

法律のプロがこんなことを?という疑問とともに物語に引き込まれていました。

この事件と過去の事件が結びついて、物語は現在と過去を行き来しながら進みます。

10年前検事のジアン・ヤンがある事件に関わることになり、それが彼の運命を分ました。優秀な検事だったし将来は明るかったはず。決して悪には屈しないという誠実さと信念の塊のような人でした。だからこそ、この悲劇的な結末なのですが。

事件の裏には巨大な力が潜んでいることが次第に明らかになりますが、証拠は次々にもみ消されてしまい、八方塞がり。怒りもあり絶望も感じたでしょう。見ている私も同じような気持ちになり地団駄を踏んでました。

癒着は隅々まで広がって正義を阻む。今も昔も変わらない悪です。

何度打たれても食い下がるジアン・ヤンを見ると「そこまでしなくても・・」という気持ちになりました。痛々しいし切なかったです。

家族まで巻き込んでいるわけですし、もう考え直してもと思ったりしました。別の方法、たとえば自分が検察トップに上り詰めてからでは遅かったのかな。

落ちるところまで落ちて、それでももう一度というその気力がすごいです。でもそれが最後の生きるための情熱だったのかもしれません。何よりも同じような気持ちの仲間がいてくれたのが救いでした。

ジアン・ヤンは検事から前科者になり携帯修理をして食いつなぐ日々、最初の若々しい姿から最後は全く違う容貌に変わって驚きました。その姿を見ると「後悔はないのか?」とどうしても聞きたくなってしまいます。

一方の現在を捜査するイエン・リヤンですが、ジン・チャオの計画の中でこの人はその実力も認められ期待されていたようでした。最後の頼みの綱でもあり、欠かせない駒でもあった。そして期待通りの活躍だったということでしょう。

この刑事は目のつけどころが他の刑事と違っていて緻密な捜査という印象でした。イエン・リヤンの信念も加わって、10年後にようやく巨悪を倒すことができました。

ジアン・ヤンとその仲間の執念が実ったと言えます。

イエン・リヤンは勲章をもらったけど、ジアン・ヤン達にもあげたかった。やっぱり生きているうちにこの結果を見せてあげたかったです。

悪は成敗されたけれど、やっぱり私はあの時やり過ごしていたら、あそこへ行かなかったらと考えてしまいました。

もとはといえば、10年前に起きたホウ・グイピンの死から始まっているわけですが、このホウ・グイピンの正義感もかなりなものです。真相は明かされ犯罪者という汚名はそそがれました。もっとクローズアップされても良かったかなと思います。

 

最後はジアン・ヤンの息子が空を見上げるシーンで終わりますが、涙を誘います。お父さんに何を話したのか・・。

余韻も残り、悲惨な物語の割には清々しく気持ちの良い終わりで良かったです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。