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韓国ドラマ「アンダーカバー 君を守り抜く」感想〜緊張の連続でも強い愛を感じるサスペンス

「アンダーカバー 君を守り抜く」 언더커버 2021年 JTBC

★★★★☆

イギリスBBCのサスペンスドラマをリメイクした作品。リメイク物なので、一味違う韓国ドラマという印象でした。骨太な大人のドラマでした。

スパイものというと馴染みもないし実感もわきにくいので完走できるか心配もしましたが、スパイ活動そのものが中心ではなく、家族や夫婦の愛が描かれていたので面白く見られました。

ただずっとハラハラドキドキの緊張が続く展開なので少し疲れました。最後までスピード感もあり、中だるみも感じませんでした。話数が少ないので一気見も良いと思います。

時々過去に戻ると俳優が変わるので最初は混乱しました。でも分かり難いというほどでもないし、あまり神経質にならなくても良いと思います。私は最後までこの人はこの人?とあやふやな人が何人かいました。(^^;)

キャストはベテラン勢が多く出演していて、それぞれ味のある確かな演技で素晴らしかったです。私としては悪役が印象に残るドラマでした。

見終わってみると人間の、そして家族の物語でした。OSTもすごく良かったです。

画像:newspim.com

ハン・ジョンヒョン/イ・ソッキュチ・ジニ)=国家安全企画部々員、自転車屋
チェ・ヨンスキム・ヒョンジュ)=ジョンヒョンの妻、人権弁護士
イム・ヒョンラク(ホ・ジュノ)=国家情報院企画調整室々長
ト・ヨンゴル(チョン・マンシク)=国家情報院企画調整室・チーム長

かつて学生運動が盛んだったころ、デモの乱闘現場で知り合ったジョンヒョンとヨンス。その後二人は結婚し今は穏やかで幸せな日々を送っていた。

ヨンスは学生時代に司法試験に合格し、以来弁護士として権力に屈することなく、弱い立場の人々の味方であり続けている。ジョンヒョンはそんな妻を支えながら息子と共に自転車屋を経営している。

ある日、ヨンスに「高位公職者犯罪捜査処長」を引き受けてくれないかと打診があった。「高捜処」は大統領、国会議員、最高裁長官などの高級官僚とその親類縁者に対して刑事責任を問う独立機関だ。

しかしこの「高捜処」設立そのものに危機感を感じる権力者達は、ヨンスの処長就任を何とか阻止しようと画策していた。

同じ頃、ジョンヒョンの元へ一人の男が訪ねてくる。そして家族を守りたいならヨンスが「高捜処長」になることを阻止しろと脅してきた。

その男はかつての同僚、実はジョンヒョンには隠している過去があり、そしてそれは家族にも言えない秘密だった。

アンダーカバー ~君を守りぬく~ | ドラマ | BS11(イレブン)|全番組が無料放送

以下ネタバレあります。

国を揺るがすようなスケールの大きな悪事に立ち向かうヨンスとジョンヒョンの物語です。法と正義で立ち向かう妻:ヨンスと、妻と家族を守るために孤軍奮闘する夫:ジョンヒョン。

ヨンスとジョンヒョンがそれぞれ別の方向から敵の中心に近づいていきます。これも面白い設定だと思いました。

若い頃からヨンスにはカリスマ性がありました。真っすぐで誰に対しても誠実な人。だから「高位公職者犯罪捜査処長」の話も来たのだと思います。でも、信念がブレない分危なっかしい面もあります。

当然悪いことをたくらむ輩には正義の塊みたいなヨンスは鬱陶しいし、結局は目を付けられ狙われました。踏みつぶされてもひるまない心の強さがすごいなと思いました。

だからと言って何か起これば悩むし、落ち込むし、そういう人間らしい所には共感が持てましたし、だからこそ応援したくなりました。

一方のジョンヒョンは実名を隠し、過去のすべてを隠しています。彼は警察学校在学中にスカウトされ安全企画部に入り名前を変えて活躍していました。しかし組織を裏切るような形で辞職したという過去があります。

自分のこの秘密を思えば、ヨンスが「高捜処長」になることを応援するのはちょっと現実味がなかったような気もしました。いつかは自分の事もバレるでしょうし・・。

さらにヨンスを狙う大悪人や組織にたった一人で立ち向かうというのも無謀な気がしました。いくら安企部では優秀な要員だったという過去があったとしても・・。でも選択肢はなかったんでしょうね。

すぐに行動に移していましたし、これも体が覚えているからだろうか?なんて思ったりしました。

ヨンスや家族を守る一方で、自分の過去の秘密も守らなければならないから大変です。始終張り詰めているジョンヒョンが良く表現されていたと思います。

このヨンスとジョンヒョンの間には息子と娘がいて4人家族です。この家族がとても仲良く幸せにくらいしている様子がしっかりと描かれているので、この幸せを守りたいというジョンヒョンの気持ちが痛いほどわかります。

彼は愛するヨンスのために何もかも捨てて、父親さえも捨てて生きてきました。でもこの時まで誰にも見つからずにいたのが不思議なくらいです。最後に後悔に後悔を重ねて・・と言っていましたが、そうなら心底幸せだった時はないのでしょう。

結局ジョンヒョンはヨンスに正体を知られて夫婦の関係は破壊寸前。彼は名前を偽っていただけでなく、ヨンスが信頼していた学生運動のリーダーを狙う安企部の要員だったわけで、自分に近づいたのも・・とヨンスに思われても仕方がない。ヨンスが酷くショックを受けるのは当然です。

それでも20年間の夫婦の絆は切れませんでした。

今や学生運動の英雄となっているかつてのリーダーが実は・・と言う事には驚きました。表面だけではわからない、本当に信頼できる人なのか・・人間って怖いです。

ヨンスも夫の事を何も知らなかったと思う反面、20年間の、そして今の夫:ジョンヒョンはどうなのか?ってことに行き着いたんでしょうね。

夫婦としての信頼関係がしっかりとあったという事だと思います。

最後はジョンヒョンも過去を清算できて、本来の自分を取り戻せて良かった。子供達も理解してくれたみたいだし、めでたしめでたしです。二人とも本当に良い子で。

クライマックスの悪人を成敗する法廷のシーンは緊迫感も迫力もありましたし、硬派で重厚なドラマでした。

最初から最後まで緊張しっぱなしのドラマでしたが、戦うジョンヒョンには家族への愛が強く感じられました。そして彼を思う家族の温かさも見えて救われました。

ハラハラドキドキが止まらない緊張感あふれる内容でしたが、見終わってみると心が温まるドラマでもありました。

後味はスッキリととても良かったです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。