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中国ドラマ「九州縹緲録~宿命を継ぐ者」感想〜宿命を受け入れる勇気と潔さ

九州縹緲録(ひょうびょうろく)~宿命を継ぐ者」 原題:九州縹緲録 
2019年 浙江卫视、优酷视频、腾讯视频

★★★★☆

古代中国の九州を舞台にしたファンタジードラマ。九州ものというと「海上牧雲記」を思い出しますが、今回の作品のほうがわかりやすい内容でした。ストーリーの内容を十分咀嚼出来ないまでも最後まで面白く見ました。

壮大な雪原の風景や大掛かりなセット、そして何より戦うシーンは迫力があり、全体的にスケールの大きさを感じる作品で見応えがありました。女性の衣装は繊細で美しく素晴らしかったです。

キャストが豪華でした。若手4人のみずみずしさも素晴らしいですが、ベテラン勢が名優揃いで彼らの揺るがない安定感がドラマを重厚なものにしていたと思います。

始まりはスピード感もある展開、中盤ですこしもたつくものの終盤はまた白熱の展開で面白いです。感動し勇気ももらえる最後なので、見終わればそれまでのあれこれを忘れ満足出来るドラマだと思います。


画像:百度

阿蘇(アスラ )・呂帰塵(りょ・きじん)=劉昊然(リウ・ハオラン)
姫野(き・や )= 陳若軒(チェン・ルオシュアン)
羽然(う・ぜん )= 宋祖児(ラレイナ・ソン)
白舟月(はく・しゅうげつ)=陳昊宇(チェン・ハオユー)

古代中国、それぞれの国(部族)が覇権を争う「九州」。草原の国・真顔部の阿蘇勒(アスラ)は家族と幸せに暮らしていたが、突然に青陽部に攻め込まれその地を滅ぼされてしまった。

首領だった父も殺され囚われの身となった阿蘇勒は青陽部へ送られるが、実は自分が青陽部の世子(跡継ぎ)だと知ることになる。災いの星の元に生まれたことを理由に秘密裏に真顔部に養子に出され育ったのだ。

青陽部に到着すると実の父・青陽大君から呂帰塵という新しい名前を授けられた。思いもよらず世子となった阿蘇勒は下唐国との同盟を結ぶための人質同然の政略結婚を受け入れる。

下唐国に向かう道中、病弱な阿蘇勒の内に底しれぬ力が目覚める。下唐国では姫野(き・や )と羽然(う・ぜん )に巡り合い友となるが、羽然は阿蘇勒の政略結婚の相手だった。

九州縹緲録(ひょうびょうろく)~宿命を継ぐ者~ | ドラマ | BS11(イレブン)|全番組が無料放送

以下ネタバレあります。

実は私は九州がよく理解出来ていません。😓

中国では「九州」シリーズと言われるドラマがあり「九州縹緲録」もその一つになります。

「九州」は中国では天下、世界全体の意味で使われる事もあるようですが、天子が君臨し支配する領域を意味するそうです。

古代中国において天子が統治する9つの州ということです。

『九州』の多くの設定は、中国で最も古い神話的地理書『山海経』を基にしている。

大海に、古くて荒涼とした大陸があった。その大陸は、殤州、瀚州、寧州、越州など9つの「州」からなり、そこには、「人族」、飛ぶことができる「羽族」、巨人の「夸父族」、地下に住む「河洛族」、水の中に住む「鮫人」、精霊の「魅族」の6つの不思議な種族が暮らしていた。(人民中国より)

「九州縹緲録」はファンタジー雑誌「九州幻想」の架空の世界が舞台のようで上記で言う九州とは違うのでしょうか?地図でもあると分かりやすいのですが・・。

このドラマでは誰もが部族のトップになりたがり、また更に九州をその手に掌握しようと争っているようでした。

私が苦手なファンタジー、頭を柔らかく想像力を豊かにしてその世界に溶け込まなければなりません。

「九州縹緲録」は天下の覇権争いだけでなく、ラブストーリーとしても楽しめたので私にとっては気持ちが入りやすい作品でした。若い恋だけでなく大人の愛=息衍(そく・えん)の愛がとてもしっとりとして良かったです。

 

途中だるくなることもありましたし、嫌気がさしたこともあります。どうしても大人が寄ってたかって子どもたちをイジメているように見えてあまりいい気分ではみられなかったのです。

それでも完走できたのは、ベテラン勢に負けず劣らず若い俳優たちがとても魅力的だったからです。演技力も素晴らしかったです。


画像:百度百科

そして、この若い4人が演じる登場人物が魅力的でした。

最初私は羽然が自分勝手で好きになれませんでした。でも何より彼女の笑顔があったからこそ重苦しい内容でも最後までめげずに見れたかなと感じています。女性としても辛い決断をしましたが、結局は何も考えないお嬢さまではなく、しっかりと自分の役割をわかっていた人でした。

姫野もずっと気の毒な人生でした。庶子として蔑まれながらも父を敬い家族を大事にするとてもかっこいい人でした。この人を主人公にドラマが出来そうなほど壮絶な人生、そして羽然でなくとも心を奪われるようなイイ男です。

そして阿蘇勒ですが、初めに見せた超人的な力で悪者をバサバサやっつけるのかと思いきや、いつまでもか細く弱い。そのことに少しがっかりしましたし、展開がもたついているようにみえる要因だったと思います。一度蘇り、また特別の剣も彼を認めたと言うのになかなか勇者にならない。

それでも穏やかで思慮深く、誠実で決断力もあるという人格者。最後はやはりこの人がなんとかしてくれないとと思わせるところが流石の展開でした。この役にリウ・ハオランがぴったりと嵌っていました。

そして白舟月、この人は終始凛として美しく、芯の強い人でした。女性陣の中では一番印象に残りました。穏やかで静かな人ですが、心には熱い思いを持っている人でした。彼女ならしっかりと国を治められるだろうと思わせてくれました。

 

物語の始まりはぐっと引き込まれるような迫力ある展開でしたが中盤はパッとしない。阿蘇勒が病弱で活躍という活躍はないので少しだるかったです。

阿蘇勒が主役と思っていたことがダメだったのかもしれないです。

でも終盤に入ってまたグッと引き込まれました。4人それぞれが宿命とは言え、自分を犠牲にしてまで祖国を思う気持ちや覚悟は切なかった。

それぞれの恋も実らない、幸せを捨てたとも言える。それでも4人の決断に勇気をもらい、その覚悟を思うと清々しささえ感じ余韻の残るドラマでした。

最後の終わり方も私は好き、カッコよかったし胸に熱くこみ上げるものがありました。中盤のだるさはこのクライマックスで帳消しです。

見てよかったと思えたドラマです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。

では、また。