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中国ドラマ「有翡(ゆうひ)-Legend of Love-」感想~武侠世界を通して描く少女の成長と初恋

「有翡(ゆうひ)-Legend of Love-」 有翡 2020年 腾讯视频

★★★★☆

出だしから迫力もあり、また謎もありすぐに引き込まれました。勢いも感じて楽しく見ていました。

ただ情報量も登場人物も多く、最初は戸惑いました。一回では把握できずに録画を見直すことになりました。人物関係も複雑なので、まずは予習として相関図を眺めておくと整理しやすく良いかもしれません。

ヒロイン周翡(しゅうひ)の成長と活躍を描いた物語です。ロマンス、友情、冒険もありの飽きさせない内容となっています。武侠ものなのでもちろんアクションもふんだんにあります。

成長過程を描いているので、最初はともかく中盤は同じことの繰り返しのように感じ、途中で挫折しそうな時もありました。焦点をどこに持っていけばいいのかわからなかったからです。

終盤は天下を我が物にしようとする悪者を周翡が仲間と協力して成敗するという展開になり加速度がついたように面白くなりましたが、それまでが長く感じられました。

人間関係を複雑にし過ぎているような印象です。彼女が出会う一人一人がヒロインの成長にかかわっているのですが、もう少し絞ってもと思いました。

本来そういう複雑さは切なさや重苦しさを生むものですが、そこまでは至ってはおらず感情移入には繋がらず、かえって物足りなさを感じてしまいました。

ロマンスもありながら、武侠に重きを置いたドラマという印象。たくさんの武芸者が登場するので、武侠ものが好きな方には堪能していただけるのではと思いました。誰もが皆カッコよく、アクションシーンは見応えがありました。

武侠ものには馴染みのない私ですが、個性的な登場人物の面白さと、それを演じるキャストの魅力で最後まで見ることができました。

若手中心の展開でしたが、ベテラン勢の味や凄みも光ったドラマでした。

画像:new.qq.com

周翡(しゅうひ)=趙麗穎(チャオ・リーイン)
謝允(しゃ・いん)=王一博(ワン・イーボー)
呉楚楚(ご・そそ)=張慧雯(チャン・ホイウェン)
李晟(り・せい)=陳若軒(チェン・ルオシュエン)

南北朝時代、江湖の48門派を結集して作られた砦=「四十八寨(しじゅうはちさい)」の当主の娘・周翡(しゅう・ひ)は武芸の腕も確かな勝気で美しい少女に育っていた。

「四十八寨」は堅い守りで知られ、谷底を流れる川には特別の仕掛けが施されており、これまでこの川を渡った者はいない。

ところがある日、いとも簡単にこの川を渡って侵入した若者がいた。軽功の使い手・謝允(しゃ・いん)だ。

侵入者・謝允を取り逃がしてしまった李晟(り・せい)は当主が自分の武芸の力不足を嘆く姿を見て悔しさのあまり砦を出る決心した。しかし引き留めようと追ってきた周翡と共に川の仕掛けにはまり行き場を失ってしまう。

その二人を助けたのは謝允だった。謝允と知り合った事で李晟も周翡も一層外の世界に憧れる。

謝允の目的は王将軍から預かった文を周翡の父・周以棠(しゅういとう)へ渡すことだった。周以棠は王将軍の遺志を継ぎ「四十八寨」を出て行くこととなった。

数ヶ月が経ち、父からの言葉を胸に周翡は川の仕掛けを攻略するため修行に励んでいた。そして李晟と共に試験に合格し「四十八寨」を出ることを許される。

そして母から最強の技「破雪刀」を伝授される。

「有翡(ゆうひ) -Legend of Love-」ドラマ公式サイト

以下ネタバレあります。

「海天一色」という隠された宝を我が物にしようとする悪者との戦いを描く 内容ではありますが、様々な経験を通しての周翡(しゅうひ)の成長を描いたドラマです。

周翡は少女なんですね。予習をしていなかったので、そんなことも知らずに見ていました。ただ流石に趙麗穎(チャオ・リーイン)です、演技の中で表情や立ち居振る舞いに少女っぽさが見えていました。何も知らずに見た私にも少女だと察することができるほどでした。

そして武術だけでなく精神力や人としての成長も無理なく描かれています。誰に対してもわきまえるという事がなく、わがままいっぱいな所は気になりましたが・・。まぁ、でも子供と言う事で目をつぶりました。

先輩たち(江湖の侠客)の懐の深さが素晴らしいです。この子の才能を見抜いているからこそだと思いますが、温かい目で見守り、惜しみなく技を授けていきます。

先輩たちのキャラも際立っていて、それぞれとても魅力的でした。登場人物が多くて大変だと思っていたのですが、次から次へと個性的で味のあるキャラが見られて大いに楽しめました。俳優陣の演技やアクションも素晴らしかったです。

武侠だけでなくロマンスもあります。ロマンスのボリュームも結構あるのですが、それほど色濃くは感じませんでした。

少女にしてめちゃくちゃ強い周翡、突然現れた素性も知れない謝允(しゃ・いん)とロマンスを繰り広げることになります。

最初は興味がなさそうに見えましたが、初めての外から来たお兄さん、周翡にとっては新しい風のような感覚はあったと思います。謝允のアプローチがなかなか積極的で、彼女も振り回されたような感じもありましたが初恋ですね。自分の気持ちにも戸惑うような初々しさもよく表現されていたと思います。

一方の謝允は名前も素性も謎だらけの人物。王一博(ワン・イーボー)が演じていることもあり、悪い人じゃないよね?と思いましたが・・。

この謝允は表情豊かでちょっとチャラい感じもする。王一博がこういう役もするんだと思いながら見ていました。でも麗しさはそのままで良かったです。

最初は趙麗穎(チャオ・リーイン)の相手役として王一博ではまだ軽すぎるのではと思いましたが、見ているうちにそういう考えもなくなり、違和感ないカップルでした。

最初は謎の人物でも蓋を開けてみれば謝允は亡国?の皇子という設定。なおかつ余命いくばくもありません。毒のせいで1年足らずの命ですが「僅かでもそばに居たい」と周翡に言えるその素直で真っすぐな愛が爽やかでした。

この薄幸の謝允の命を救えるのか?というのも展開の中では大きな要素の一つでした。彼を助けるために必死になる周翡は可愛かったですし、健気さに心打たれました。

彼は毒のせいで武術は使えず戦えなかったのですが、毒が抜けて復活すると最後はメチャ強くなっていて驚きました。(笑)やっぱり実はただ者ではなかったのですね。

ものすごく即効性のある薬、復活早すぎ。(笑)

画像:百度百科

成長という点では李晟(り・せい)も大きく変りました。始めは周翡へのライバル心むき出しだったし、自分を過信していて危なっかしい人でした。

甘いなぁと思ってましたが、段々と実力もついて堂々とした武芸者に成長しました。うっすらとロマンスもあってそれも微笑ましかったです。

ただ活躍していた割には何故だか印象が段々薄くなってしまった。人物設定がしっかり出来ていなかったように思いますし、特に彼の心の中は見えにくかったです。

その他、少し興味を持ったのは「刀」。武侠ものだからでしょうか?刀がたくさん出てきました。

画像:百度百科 謝允が周翡に贈った刀

「刀」についても全く知識がないので良し悪しなどわからなかったけれど、侠客たちがただ戦うための道具としてだけでなく名前も付けて大切にしていたんだろうと思うと、やはりそれには魂のようなものが宿るような気がしました。

自分の身を守るものだし、相棒と考えていたのかなと思います。もしかしたら手に馴染んでしっくりとするものとは、簡単には出会えなかったかもしれないと思うとロマンを感じます。

 

物語のクライマックスは緊張感も迫力もあって手に汗握って面白かったです。ゲーム的な感じもありました。

皆で力を合わせて悪を倒し平和をもたらす事が出来ました。誰も死なずに本当に良かった。

この後はどのカップルもハッピーエンドですが、呉楚楚(ご・そそ)の弟はどうなったのかな?

最初から最後まで変にイラつくようなこともなく、ドロッとした感もなく、サラリと終わったドラマでした。

ただ、爽やかさはあるものの、その分深さはあまり感じられず感情移入もできなかったし、余韻もなく物足りなさも残りました。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。