「策略ロマンス〜謎解きの鍵は運命の恋〜」 嫣语赋 2022年 腾讯视频
★★★☆☆
出だしから本格的なミステリーとして面白く先が気になり引き込まれました。スピードのある展開も魅力でした。
男女平等的な考えを持ち、自立した女性を目指すヒロインは逆境をものともせずに自分の人生を切り開いていきます。古装劇ではありますが、現代風のヒロインに見えました。
ロマンスの面ではヒロインを挟んで男性陣がバチバチの戦いを繰り広げたりしてドキドキもあります。誤解で思いがけない方向へ進み、それぞれの思いが絡み合って複雑な四角関係に発展、ちょっと面倒くさい感じに。明るくさわやかなロマンスとはなりませんでした。
また後半の展開は行き当たりばったりに感じられ、どうしてこんな事に?と思うことがしばしば。流れに乗って最後まで飽きずに面白く見ましたが、振り返ると突っ込みどころがいっぱいです。
私は題名からラブコメだと思い込んでしまいましたが違いました。「嫣語賦」という原題のままのほうが趣も深みも余韻も感じて良かったのにと思いました。
キャストでは男主役を演じた徐正溪(シュー・ジェンシー)がやっぱり強力。二枚目過ぎる二枚目です。吸引力があります。
またヒロインを演じた喬欣(チャオ・シン)は琅琊榜〈弐〉の地味なイメージが強かったのでピンとこなかったのですが、物語が進むうちに気にならなくなりました。
秋嫣(しゅう・えん)=喬欣(チャオ・シン)
梁翊(りょう・よく)=徐正溪(シュー・ジェンシー)
秦暄(しん・けん)=劉芮麟(リウ・ルイリン)
秋珉(しゅう・みん)=許雅婷(カービィ・ホイ)
秋家の娘・嫣(えん)は6年前に出会った恩人の少年を心に秘めながらも、顔も知らない賀将軍の息子に嫁ぐことになった。
しかし婚礼中に花婿が血を吐いて急死。賀家では息子が死んだのは嫣の凶運のせいだと恨み殉死するように要求する。理不尽だと賀家を逃げ出した嫣だったが戻った秋家にも自分の居場所はなかった。
賀家と秋家の仲裁のため皇太子の命を受けてやってきた冷徹な検校史・梁翊(りょう・よく)は嫣に出家して花婿を弔うように言い渡す。これにも納得できない嫣は自分で生きる道を探そうと画策するが梁翊に邪魔をされ失敗。
秋家のためにも賀家に戻らざるを得ないと考えた嫣は、花婿の死の真相を調べることにする。知り合った秦暄(しん・けん)の助けを借りて花婿の遺体を調べ毒殺だとわかった。さらに梁翊から助言をもらい事件を解決に導いた。
自由になった嫣は梁翊と七夕の夜を楽しむ。そして孔明灯(ランタン)に梁翊が書いた落款を見て彼こそが6年前のあの少年だと気づくが・・。
以下ネタバレあります。
幼い頃の淡い初恋を成就させた物語と見ることもできますし、しがらみを何もかも捨ててやっと結ばれる感動的な愛の物語と見ることもできますし、知恵と勇気で自分の運命を切り開くヒロインの物語とも言えると思います。
まずはヒロインの秋嫣(しゅう・えん)は自立心を持ち、自分の道は自分で切り開くという人、賢くて行動力もあり皆を導く力もありました。家庭環境が彼女にとっては最悪だったから自由を求めたし、独立心旺盛になったのかもしれません。
見方によっては素晴らしい女性と言えるでしょうが、物語の時代背景にそぐわず違和感を感じました。(現代劇なら全く問題ないのですが)
思考回路も独特で、やたらに強気で自分勝手に見えて好きにはなれませんでした。苦境を打破するためとはいえ、周りを巻き込むだけ巻き込んで自分だけすり抜けるようなところが嫌いでした。
最後も愛し合う梁翊を残して自分が罪をかぶって雲隠れと言うのも納得できませんでした。いくら何でも梁翊(りょう・よく)が悲惨過ぎるでしょ。極端な展開でしたね。
一方の梁翊(りょう・よく)ですが、彼が何とか秋嫣を手に入れようとするのが「策略ロマンス」と言う事なのかなとも思ったりしましたが・・。
梁翊は秋嫣を最初は快く思っていなかったものの、一緒に事件を解決するうちに良き相棒と考えるようになります。
そして6年前の少女が実は秋嫣だったと気づいてから、気持ちはどんどん嫣に向かっていき・・この辺りの加速度のついた彼のアプローチは楽しいです。嫣の心を得るために必死に巻き返しを図る梁翊はちょっと可愛かったかも。
彼は秋嫣の生き方を認める懐の深さがあって、自分が一歩引くことになっても彼女を尊重し支える姿は頼もしく男らしかったです。
演じた徐正溪(シュー・ジェンシー)、今回は吹き替え(配音)ではなくご本人の独特な低音ボイスで素敵でした。人の心を探るような目線にはゾクっとしますね。個人的にはこの人がいなかったら途中リタイアもあったと思います。あくの強い役が印象に残っていますが、こういうツンデレ役もいいですね。
そして秋珉(しゅう・みん)と秦暄(しん・けん)。
珉は姉(腹違い)の嫣とは真逆の性格。愛する秦暄が嫣に思いを寄せていると知ってから、清純だった性格が崩れてしまいます。
秦暄を陥れるというしてはいけないことをしてしまう。もうどうやっても溝は埋まらないなと思っていたら、瀕死の珉を秦暄は必死に看病してました。うまくいくんじゃない?珉は成り行きに任せると言っていたけれど。身勝手な愛は愛ではないと悟ったようですし、大人になりました。
一方の秦暄はお坊ちゃま過ぎました。気持ちは大いにあるのだろうけれど、何の力もないからいざという時も嫣を救えない。そんな自分をもどかしく思っただろうし、いつの間にか嫣をライバルに取られちゃうし・・どこか都合の良い男のみたいでなんだか哀れで気の毒でした。でもこれで終わりじゃないから前を見て進んで欲しいです。
物語の最後はまた複雑な展開でここまでする必要があるのかと思いました。誰もいなくなってボロボロになった梁翊が痛々しかった。
官職を辞した梁翊は小説を書いています。そして嫣への思いを綴った小説が「嫣語賦」と言うわけです。
この「嫣語賦」を本屋で見つけた嫣。そしてしがらみが取り払われただ自分一人になった嫣と梁翊が再会します。
めでたしめでたし・・なんですが、私はいけ好かない元閬(げんろう)がいいとこ取りしたのが気に入りませんでした。なのできちんと終わった気がしません。
梁翊と嫣は二人で幸せになるんだろうけど、そのほかの人たちはどうなるのかなと気になるところです。
面白く見ていた割には突っ込みどころは満載でしたが、最後の梁翊良かったなぁ、ロマンチックにまとまっていて良かったです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。