ふくみみdiary

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中国ドラマ「長風渡(ちょうふうと)」感想〜胸キュンから壮大な歴史劇へ

「長風渡~あなたと綴る、運命の縁~」 长风渡 2023年 爱奇艺

★★★★★

毎回夢中で見ていました。面白かったし楽しかったです。

前半はロマンス色が強いです。結婚から始まる恋愛ドラマはおなじみのパターンでテーマとしては新鮮味はありませんが、ラブコメ風の出だしでテンポもよく、可愛らしく描かれていて楽しかったです。

二人の間に愛や信頼が育まれていく過程を描きながら、同時にそれぞれが人間として成長していく姿を描いた物語でもありました。サクセスストーリー的な要素もあります。

他にも家族の愛、友情、正義が盛り込まれ、アクションあり、笑いあり、感動あり、涙あり、もちろん胸キュンもあって、何もかもがぎゅぎゅっと詰まった濃い内容でした。

もちろん楽しい場面だけでなく、切り刻んでやりたいような人でなしや執念深く卑怯な悪者も登場して腹に据えかねる展開も多いのですが、主人公たちのさわやかさのおかげか重苦しさは感じませんでした。

策略や陰謀であわやという場面が何度もありハラハラしますが、主人公二人が力を合わせて苦難に立ち向かい切り抜ける姿は頼もしく痛快でした。

終盤は政治的要素も強くなりロマンス色は陰を潜めますが、その代わり国を守る、民を守るという壮大な歴史劇になっていきます。

思いの外、戦闘シーンも多くアクションは迫力があって見応えがありました。

なによりキャストがとても魅力的です。私は白敬亭(バイ・ジンティン)推しなので、彼だけいればもう十分だったのですが、他にも美男が多いのです。これもポイント高かったです。女性陣も美女揃いで華やか。

若手中心のドラマでしたが、やはりベテラン勢が押さえるところをしっかり押さえて締めてくれていましたので、見ていて安心感がありました。

前半と後半で大きく内容に変化があるのも見どころの一つかなと思います。

それほど肩もこらずに見られますので、中国時代劇初めての方にも楽しんでいただける作品だと思います。

画像:百度

顧九思(グー・ジウスー)=白敬亭(バイ・ジンティン)
柳玉茹(リウ・ユールー)=宋軼(ソン・イー)
洛子商(ルオ・ズーシャン)=劉学義(リウ・シュエイー)
葉世安(イエ・シーアン)=張昊唯(チャン・ハオウェイ)
周燁(ジョウ・イエ)=張睿(ジャン・ルイ

柳玉茹(リウ・ユールー)は布商の嫡女(正妻が生んだ長女)にもかかわらず継母(側室)にいじめられて苦労している。一方、顧九思(グー・ジウスー)は江南一の大富豪の御曹司で軽薄な放蕩息子だ。

玉茹は病気の母の薬代を工面するため、訳あって顧九思に会いに行くが、人前で散々からかわれ、挙句の果てに金を出されて腹がたちその場を去る。

ある日、九思は仲間に誘われ、葉家の祝いの宴に集まった女子たちを見物しようと使用人のふりをして葉家の庭に忍び込んでいた。そしてこの宴に出席していた玉茹が自分の悪口を言っているのを聞いてしまう。思わず飛び出し騒ぎになり、不審者扱いされた。

この件が大ごとにならぬよう機転を利かせた玉茹は葉家の大奥様から認められ、慕い続けていた葉家の息子・世安との結婚が許された。願いがかなったと玉茹は天にも登る気持ちだった。

その頃、九思は仕返しのために玉茹の一番嫌がることをやってやろうと考えていた。そして九思は玉茹に「好きになった。絶対に娶る」と大勢の前で求婚する。

九思は嫌がらせの冗談のつもりだったが、あれよあれよという間に婚儀の日取りまで決まってしまった。

実は財政難の大栄王朝が顧家の財産を狙って公主と九思の結婚を画策しており、顧家ではこれをなんとしても回避するため九思の結婚相手を早急に求めていたのだ。

何もかも勝手に決められて納得いかない九思、長く夢見てきた葉世安との幸せが反故になってしまった玉茹、それでも二人はなんとか婚儀を終えたが・・。

覚悟を決めて嫁いだ玉茹を前に九思は一方的に離縁の話をして逃げてしまった。

もう出家するしかないと泣き崩れる玉茹、見かねた九思の母は「気分転換に顧家の店を見に行こう」と誘う。

長風渡~あなたと綴る、運命の縁~|コンテンツセブン|「離縁の誓い」から始まる。江南一富豪のドラ息子が放った何気ないひと言から夫婦に。愛と信頼の時代劇サクセス・ラブストーリー。

以下ネタバレあります。

単なる結婚から始まる恋愛ドラマというわけではありませんでした。人間の成長や家族の愛も描かれ、また政争や陰謀が盛り込まれた歴史劇でもありました。

とは言っても中心は顧九思(グー・ジウスー)と柳玉茹(リウ・ユールー)が愛を深めて本当の夫婦になっていくという物語です。二人の心の動きはゆっくりと描かれて、少しじれったくもありましたが丁寧な心理描写だと思いましたし、とても可愛かったです。

玉茹はともかく、九思は結構一目惚れに近かったんじゃないでしょうか。やたらと玉茹に小学生みたいな嫌がらせをしたりして・・気になっていた証拠かと。

出だしの九思は仲間とつるんでチャラチャラと遊んでばかりの放蕩息子ですが、実は見かけほど馬鹿じゃないし、ダメ人間でもない。

だんだんと九思という人間がわかってきますが、実は洞察力も高く、情が深く男気があるのです。

更に彼はとても進歩的な考えを持ってます。男女を平等に考えているし、とてもバリアフリーな心の持ち主で人格者なのです。

コミュニケーション術も素晴らしく下の者からも慕われます。彼の人との関わりあい方は私も勉強になりました。

出来る男なので、上からは一目置かれ頼りにされる反面、出る杭は打たれるのごとく理不尽な仕打ちにもあいます。

その上驚いたことに、勉学は疎かにしていたけれど義侠に憧れ武芸を習っていたので、ものすごく腕が立つのです。なのでアクションシーンではカッコいい姿を見せてくれて見応えありました。

学歴を除けばかなりハイスペックな男子です。

九思は結婚後に心を入れ替え変わりました。これは玉茹のおかげでもあるし、顧家とってこの結婚は超ラッキーだったと言えるでしょう。九思は後にしっかり学歴も手に入れますし(うやむやになってしまったけど)、完璧です!

一方の玉茹も顧家に嫁いだことは幸運なことでした。

まず喜んで自分を受け入れてくれた九思の両親がいて、婚家から虐げられるなんてことはありません。彼らは九思を立派な男子に生まれ変わらせようと玉茹の力を借りようとするなどとても寛容な人たちでした。

義母のおかげで玉茹は元々持っていた才能を生かす場を与えられ、本領を発揮するようになります。商売があって自立することができ、向上心も自信も生まれ、自分を輝かせることが出来ました。

もし葉家に嫁いでいたらどうなっていただろうと考えてしまいますね。

 

最初は反発しあってぎくしゃくしていた二人も最後はお互いにお互いを命と思うようになります。ここまでたどり着く道のりが長く大変だった・・。

様々な困難を乗り越える中で、長所や才能を認めあって力を合わせる姿は微笑ましいというより、力強さを感じました。悪に屈することなく最善を尽くす二人はいつでも一生懸命。

玉茹は九思の優しさを褒め、また責任感の強さや先を見通す能力を信頼していました。九思は玉茹の賢さや男顔負けの思い切りの良さに感心していました。

相手をリスペクトして真心を尽くす姿はまさに理想の夫婦です。二人の愛情を確認出来る場面は感動的でした。

泣かされる場面もたくさんありました。九思の従者の王壽が戦いの中で死んでしまった時は泣けました。でも一番泣いたのは・・

九思を捕まえるために脅され、結局は斬首の刑に処せられた親友。この場面は号泣だったな。二人の絆がとても感動的に描かれていて、涙が止まりませんでした。遊び歩いていた3人だったけど、皆男気のある誇れる男子でした。

 

全体的に微笑ましく感動的で楽しく見られる内容なのですが・・少し極端な展開だなと思うところもありました。

たくさんの人が次々に死にますし、なんでこんなことにと思うような極端な展開に驚かされました。

突然に顧家、葉家の滅亡があったり、皇太子がなにやら見覚えのある人たちとつるんで謀反に加担していたり、玉茹は偽装の死により3年も身を隠す羽目になっていたり。

特に葉家では葉韻がとんでもない目に遭うし、いたたまれなかったです。でも良くぞ立ち直りました。立派です。

玉茹の偽装死は周りの人の気持ちを思えばやり過ぎだったんじゃないかと思いました。3年もの長い間ですから酷い。

そしてあまりにもがっかりしたのは、皇太子になり後に皇帝にもなった范玉の愚かさ。お父さんの范軒は誠実で人望もあった人だったのに息子は良いところが一つもない。

九思には恩があるでしょ。でも范玉の辞書に恩はないのかも。とにかく中身の全くない情けない人間だったから、洛子商の手の上で転がされ利用されて哀れな末路でした。

とにかく最後は正義が勝って、九思と玉茹、それに葉韻がハッピーエンドで本当に良かったです。特に葉韻が良き伴侶に恵まれたことにはホッとしました。

不満といえば・・周燁と秦婉之もハッピーエンドにして欲しかった。ようやくって時になんてこと。切ないです。

重箱の隅をつつくようなことをしなければ、ワクワクドキドキが溢れる面白い作品でした。登場人物も多くて、いろいろな要素が詰まっている割には物語もわかりやすく、それほど矛盾を感じることなくスムーズに流れていきます。

とにかく白敬亭(バイ・ジンティン)が演じる可愛らしくも強く頼もしい顧九思を見て欲しいです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。