「 卿卿(きょうきょう)日常 〜宮廷を彩る幸せレシピ~」 卿卿日常 2022年 爱奇艺
★★★★☆
最初から最後まで面白く見ました。
宮廷物語で後継者争いも描かれながらもストレスなく見られる作品で、主人公2人のロマンスが可愛らしい印象のドラマでした。コメディ色もあって楽しく見られます。
さらに女性の自由や自立と言ったメッセージも入っていて女性が目立つ作品でした。
そして家族の物語でもあります。父と息子の関係、父と娘の関係、そして兄弟間の争いや絆。それぞれの思いがわかって切なくしんみりしたり心が温かくなったり。
ストーリーもわかりやすく、緩急のついた展開で飽きずに見られます。
中国ドラマの要素=後継者争い、庶子、正室と側室、自由のなさなども詰まった作品ですがドロドロ感がなく見やすいです。
古装ドラマではありますがストーリー展開は現代劇のようで、中国ドラマ初めての方にも楽しんでもらえると思います。
フレッシュな主人公2人が爽やかで可愛らしいカップルでした。その他、個性豊かな味のあるキャストのお陰で奥行きのある作品、見終わって優しい気持ちになれるドラマでした。

尹崢(いん・そう):六少主=白敬亭(バイ・ジンティン)
李薇(り・び)=田曦薇(ティエン・シーウェイ)
尹嵩(いん・すう):嫡長主=張暁晨(チャン・シャオチェン)
尹岸(いん・がん):三少主=劉冠麟(リウ・グァンリン)
尹岐(いん・き):五少主=昌隆(チャン・ロン)
同盟を結ぶ九つの「川(国)」。
この九川の盟主である新川(しんせん)では新川主の少主(息子=皇子)の夫人を選ぶ選抜会が開かれる事になった。各川から娘たちが集まり、美しさや教養を競う場だ。
この選抜会に参加することになった霽川(せいせん)の李薇(り・び)は田舎者の自分は合格するはずもなく、早々に落選して故郷に帰る予定でいた。彼女の願いは家族とともにのんびり暮らすことだ。顔も知らない相手に嫁ぐなど問題外。
しかし各川の均衡を保つため、病弱な六少主・尹崢(いん・そう)が彼女を娶ることになり、李薇は側室の待遇で迎えらることとなった。
予想外の嫁入りに李薇は困惑する。しかし相手の六少主・尹崢が余命いくばくもないと知ると、それならとしばらく成り行きに任せ我慢することにするが・・。
以下ネタバレあります。
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九川と呼んでいますが同盟を結んでいる9つの国があり、その中で一番大きな国である新川が盟主国となっているようです。今回舞台になるのはその新川です。
盟主国・新川の皇子達の嫁候補として各川から選ばれた女子が集まります。この政略結婚で同盟力を上げようということだと思いますが、他の川でも同じようなことが行われているんでしょうか。
それぞれの川で文化や習慣が違うのもポイントです。突然夫婦となってお互いの食べ物の好みが違ったり考え方の違いがあってギクシャクしたり・・そんなところもなんだかリアルで面白かったです。
それはともかく、この選抜会に場違いな女子が一名・・李薇(り・び)です。嫁ぎたくないという気持ちはわかりますが、非常識な行動が目にあまる。川の代表として来ているんだからもう少し自覚を持って・・と言いたいけれど、ここはコメディに仕立てたかったんだろうということで不満は飲み込みました。
でもなんと六少主の側室になることに。六少主の尹崢(いん・そう)は病弱で目立たないけれど、それは隠れ蓑で実は文武両道の極めて優秀な少主です。
出会ったときから尹崢は李薇のことが好きだったのか?彼女の自由奔放さが可愛らしく見えたのかもしれないです。始めは彼女に呆れるような場面もあったけれど、尹崢は誠実で理解のある素晴らしい夫となります。
尹崢を演じた白敬亭(バイ・ジンティン)は最後までほっこり感があって良かった。人気のある俳優さんというのもうなづけましたし、他の作品も見てみたいなと思いました。
李薇はお嬢様的な素養はなかったけれど、生きる知識や力、逞しさを持っていて時には彼女の考えが尹崢を助けたりします。
でも李薇って鈍感なのか、まだ恋心というものを知らない子供だったのか・・結構尹崢が頑張っていたんですけど、なかなか・・。
でも2人はお互いを尊重しつつだんだんと愛を深めていく・・その姿が可愛かったし微笑ましかったです。
尹崢&李薇のロマンスはゆっくり進みます。前半は物足りなさを感じていたのですが、終盤の仲良しすぎるシーンを見るとすっかりそれまでのもやもや感は吹き飛びました。
ロマンス以外には外交問題や災害などの問題に対して尹崢の政治的手腕が発揮されますし、他のカップルのあれこれで飽きる事なく楽しく見られます。
新川は男尊女卑の国、女性が自分らしく自由に生きるということが認められていない。ここに李薇と後宮で仲の良い女性達はメスをいれていきます。女性の立場の改善、生き方や自立を描く物語でもありました。
自分たちの自由だけでなくすべての女性の開放を目指していたのが素晴らしかったです。
李薇の仲間の中には自国へ戻り官僚となり政治をしたいと思っている人、後宮を出てシングルマザーを決意し自立しようと頑張る人、皇子から庶民となった夫と共に歩む人。
それぞれの女性の決心と覚悟、自由への思いがしっかり伝わり、そして目標を持って努力する姿が描かれていてメーッセージ性の高い作品でした。
知恵を出し合い元気いっぱいに頑張る姿は応援したくなるし、勇気ももらえる、そんな作品でもあります。
男性陣は六少主・尹崢以外はダメ男に描かれていましたが、三少主も大馬鹿に見えて結構賢かったし、五少主はただチャラく情けないだけかと思ったら割と一途で愛情深い人でした。
男性陣もそれぞれ個性的で味わい深いキャラで印象に残りました。

最後は割とありきたりのハッピーエンド、もう少しひねりがあってもと思いましたが、余韻も残る良い最後でした。
皆で集まって食事をする様子は楽しそうだったし、家族という感じが出ていて良かったです。家族の物語でもありましたね。
大切な人たちと楽しく美味しくご飯を食べられる・・笑顔あふれる日常こそが幸せということですね。それは皇族でも庶民でも同じ、そして昔も今も同じです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。