「蓮花楼」 莲花楼 2023年 爱奇艺
★★★★★
武侠ものは苦手なので視聴前は少し不安でしたが、魅力ある俳優さんが揃っているので気持ちは前のめり。結果、最初から最後までとても面白く見ました。
武侠ドラマというとわけも分からずただ戦っている的なイメージがあり、今までは入り込めなかったのですが、今回は物語がわかりやすく矛盾を感じることもなく見られたのが良かったです。
出だしは情報量が多く大変でしたが、物語は本格的なアクションから始まりすぐに引き込まれました。
謎解き(ミステリー)スタイルのエピソードで構成されていて、また一つ一つのエピソードが長すぎることもないので飽きません。またそのエピソードにより次第に物語の真実に近づいて行くという展開でよく考えられた脚本だなと思いました。
ロマンス色が濃くなかったことも良かったです。ほぼないと言っていいと思います。そのため焦点がはっきりとして物語を追いやすく、集中出来ました。
突き詰めればとても辛く悲しい物語なのですが、クスッと笑えるところもあったり、愛犬に和んだり、謎解きでは名探偵ぶりに感心したりと全体的には重苦しさを感じることなく見られました。
それでも見終わってみれば、それぞれの人物の生き方から考えさせられることもあり、深い内容で余韻も残る素晴らしい作品でした。
物語もさることながらキャストがとっても良かったです。やはり主要の3人=成毅(チョン・イー)、曾舜晞(ツォン・シュンシー)、肖順尭(シャオ・シュンヤオ)の存在感が強く残ります。アクションも迫力があってかっこ良く、安定感がありました。それぞれの演技力も素晴らしく、演じた人物の個性もしっかり表現されていて、ドラマの魅力を引き立てていたと思います。
とにかくこの3人を揃えたことでほぼ成功と言えたのでは?3人の俳優の魅力に尽きるドラマでもあったかなと思います。

李相夷(り・しょうい)・李蓮花(り・れんか)=成毅(チョン・イー)
方多病(ほう・たへい)=曾舜晞(ツォン・シュンシー)
笛飛声(てき・ひせい)=肖順尭(シャオ・シュンヤオ)
江湖随一の剣神・李相夷(り・しょうい)は天魔を下し四顧門を設立すると20歳で武林の盟主となり江湖の混乱を収束した。
しかし師兄・単孤刀を殺した金鴛盟の盟主・笛飛声(てき・ひせい)との対決で相打ちとなり海に沈み行方不明となってしまう。
その後李相夷は一命をとりとめるが解毒薬のない碧茶毒に侵されていて、武芸も回復できず余命10年と宣告された。
その10年後・・
百川院では武術選考が行われていた。名家の跡継ぎだが家出をしてきた方多病(ほう・たへい)は名前を伏せて参加し、江湖の捜査員=刑探として入門を許された。
方多病は金鴛盟の残党を追う使命を受け嘉州へと旅立つ。その途中、李蓮花(り・れんか)という流れの医者に出会った。死人を生き返らせる術を持つと言われる李蓮花を詐欺師ではないかと疑いつつも、次々に起こる奇怪な事件を共に解決していく。
李蓮花は実は過去を隠した李相夷。すでに余命1年と迫り、毒による発作も頻繁になっていた。
李蓮花は方多病の目標が四顧門を復興し師匠と仰ぐ李相夷の帰りと待つことだと知る。更に彼が師兄・単孤刀の甥ということに驚く。
その頃、笛飛声も10年かけて傷を癒やし生きて金鴛盟に帰ってきた。ずっと探していた武芸を極める霊薬のありかを突き止め、なんとしてもその薬を手に入れようと動き出す。
以下ネタバレあります。
![]()
前述の通り武侠ものは苦手ですが、主要キャストを知ると見ないわけにはいかなかったです。吸引力抜群の3人です。
ただ強いて言えば成毅(チョン・イー)は少し不安でした。というのも私は今まで成毅という俳優には特に魅力を感じられなかったからです。でも今回は人気があるのが良くわかったような気がします。
雪解け水のような清らかさ、華もあり、雅で品がある、そしてなんだか艶っぽい・・一つ一つの所作がとても美しく見惚れてしまいました。姿勢もとても良い。
ただこれが成毅(チョン・イー)の魅力なのか、李蓮花(り・れんか)だからこそなのかよくわからなくなってきています。成毅の魅力を最大限に引き出した制作陣の勝利というべきか・・。
とにかく李蓮花にはドンピシャではまり役だと思います。

このドラマでは主要3人の登場人物の個性がとてもはっきりとしていました。それぞれ目指すものがあり全く違う考え方を持つのでぶつかる時もありました。でもお互いの絆はとても強くそれが胸を熱くします。
◆李蓮花(り・れんか)
この人が主役ですが、実は死んだと思われている李相夷(り・しょうい)です。毒に侵されていて余命幾ばくもない。それでも師兄の亡骸を見つけることだけを生きる情熱として、流れの医者をしながら旅して各地を回っています。
世の中を達観し掴みどころのない人という感じです。でも世の中の平和と安定を守るという信念はずっと変わらず持ち続けています。
若い頃から武人として他者を圧倒する才能があり、誰からも英雄と称えられる輝かしい将来があったにもかかわらず、毒により次第に内力が落ちていき、自分を支えるだけで精一杯になり、目も見えなくなり、血を吐き、記憶もぼやけ・・。
この残酷な運命をどれだけ呪ったでしょう。どれだけこの毒を恨んだだろう。でもこれを受け入れ、更に自分の過去の間違いに向き合い・・なんて強い精神力なんだと思いました。
そんな体なのに望みは師兄を見つけること。というよりこのことがあったから生きられたんですね、きっと。
彼の運命を思うと切なく辛く悲しい。生きるために少しは悪あがきして欲しかった。唯一の毒消しを他の人にあげちゃうなんて(泣)。
最後は彼の中に究極の慈愛を感じました。無欲であり、過ちも受け入れる包容力があり、自己犠牲も厭わない分け隔てない愛がありました。もう神の領域・・。
奇跡的に彼が完全復活したりしたら、陳腐なドラマになってしまうんでしょうか?李相夷(り・しょうい)ではなく、李蓮花(り・れんか)として生かして欲しかったです。
驚いたのは、内力減って以前の3割程といいながらもものすごく強いのです。これ完全版・李相夷ならどれだけ強いんだ?と思いました。
とにかくチョン・イーの李蓮花は最高でした!
◆方多病(ほう・たへい)
根っからのお坊ちゃま。そして純真無垢でとにかくまっすぐ。李蓮花にとっては希望でもあり眩しい存在だったかも。でも実は彼にも出生の秘密もあって、見かけより複雑な人生です。
病弱だった子供の頃に一度李相夷に会っていて、アドバイスをもらったことで武術に励みそこそこ腕も立つようになりました。とにかく李相夷は彼にとっては自分を180度変えてくれた神のような存在なんでしょう。勝手に李相夷を師匠と呼んでいます。
でも李蓮花=李相夷と知るのはかなり後のことです。
方多病が李蓮花と共に行動する中で、少しずつ人として成長し、また武術の腕も上がっていくのは見どころの一つです。
そして最後はかつて李蓮花が師兄を探したように、今度は彼が李蓮花を探す決心を。こういうところも泣かせるな・・。
◆笛飛声(てき・ひせい)
悪役にも見えるのですが、そうでもないですね。この人は地位や権力には全く興味がなく、ただただ剣の道一筋の人なのです。
10年前に李相夷と戦って傷を負い、その後ある程度回復し戻ってきましたが、もう金鴛盟の盟主という立場もどうでもよくなっていて、頭の中は李相夷のみ。
彼の望みはただ一つ、李相夷ともう一度剣を交えたい、そして勝って堂々と天下一を名乗りたい。そのためにも李相夷の体を完全に元に戻さなければと思い、力を尽くします。この情熱も凄いです。
でもそれに執着する気持ちもわかります。中途半端な李相夷と戦ったところで彼には何の意味もないのです。
これはもう一途な愛といえるのでは。
笛飛声は徹底的に強い人間かと思うと、弱い面もあります。これがまた可愛くも見えて魅力的です。
この人の最大の不運は角麗譙と関わってしまったことです。迷惑きわまりない女。彼女も笛飛声に執着するあまり常軌を逸したのかなとも思いましたが、もともと野望があったようだし邪悪な女だったのでしょうね。
物語の最後もとても良かったです。号泣でした。
李相夷には生きていて欲しいと思いましたが、解毒薬もないので仕方ないです。これがまた奇跡的に復活したりしたら、ホッとしたとしても余韻のないドラマになってしまったでしょう。
それでも私は一人で彼を逝かせるのは忍びなかった。
なので妄想・・かつての恋人だった喬婉娩、一人で旅に出ましたがどこかで李相夷を見つけ、最後のたった一日でも、いや数時間でもいいから傍にいて見守ってくれたらと思いました。彼女の腕の中で息を引き取ったなら私の心も慰められます。
李相夷も目が見えなくなって、記憶がなくなっていても、温かく手を握ってくれる人がいたら寂しくなかったのでは。
誰にも知られずに一人で死んでしまうなんて辛すぎます。そんな最後を迎えるべき人ではないはず。きっと傍に喬婉娩がいると想像していたのですが・・。
何やら結末の結末みたいな約5分間の動画がYoutubeにアップされています。
教えてもらったのは中国語や漢詩にも精通していらっしゃるブロガーさんです。
皆で李蓮花を探しているのが切ない。そして動画の「死んだ人」が李蓮花とは限らないですよね?とどうしても往生際が悪くなります。でも海ね・・徹底的に人知れずってことかな。
天に召された彼は新しい世界でまた武術を極めるんだろうか?それとも畑を耕しているんだろうか?(涙)
とても美しくて壮大で、悲しいけれど心が清らかになるようなドラマでした。
今回とても面白かったので、武侠ものへの苦手意識が少し薄くなったかも。
最後まで読んでくださってありがとうございます。