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中国ドラマ「夢華録(むかろく)」感想~3人の女性の勇敢な生き方に拍手

「夢華録(むかろく)」 梦华录 2022年 腾讯视频

★★★★☆

北宋第3代皇帝・真宗の時代が舞台のようです。

物語は3人の女性の生き様と朝廷内の陰謀を暴くという2面で進んでいきます。始めは複雑な物語のような気がしましたがゆっくりと進むのでわかりやすかったです。

登場人物も多めですが、その都度区切りもつくのでそれほどの混乱はありませんでした。

3人の女性に焦点を当てた内容で、彼女たちの逆境に立ち向かう生き方やロマンスが丁寧に描かれています。その中に朝廷内の陰謀を捜査する秘密警察の緊迫の展開が溶け込んでいて、無理なく両方楽しめる内容でした。

ただ女性であることや身分が低いというだけで受ける偏見や嫌がらせの中でも3人が前を向いて道を切り開いていく姿は勇敢で潔くスカッとしました。

ロマンスは大人の恋愛だからか全体的に落ち着いた雰囲気です。それほど胸キュンはないけれど、ドキドキハラハラ気になる展開が続きました。

それぞれしがらみがあって、だからこそ恋にも足踏みしたり躓いたりしますが、それが現代にも通じ「うんうん」と頷きながら見ていました。共感できるポイントがたくさんありました。

登場人物は丁寧に描かれているので人となりや考え方がよくわかりますが、演じた役者さん達が個性を上手く表現していたからこそです。

ヒロインを演じた劉亦菲(リウ・イーフェイ)や男主を演じた陳曉(チェン・シャオ)は、台詞などなくても十二分に色気も感じる雰囲気のある役者さんでドラマにピッタリでした。

展開もわかりやすく物語の内容は悪くはないですが、個人的には盛り上がりがあまり感じられず少し長かったという印象です。

それでも最後まで飽きずに見られたのは、主役のみならず脇役までも魅力的で演技力も確かな俳優陣のおかげかなと思っています。

目を引いたのは宋の時代の都が美しく再現されていたことです。華やかだった宋の時代の文化や庶民の生活に思いを馳せる・・そんな時間も楽しかったです。

画像:百度百科

趙盼児(ちょう・ふんじ)=劉亦菲(リウ・イーフェイ
顧千帆(こ・せんはん)=陳曉(チェン・シャオ)
孫三娘(そん・さんじょう)=柳巖(リウ・イエン)
宋引章(そう・いんしょう)=林允(リン・ユン)
歐陽旭(おう・ようきょく)=徐海喬(シュー・ハイチャオ)

北宋の都・東京(とうけい)では皇城司(皇帝直属の秘密警察)が皇后を引きずり降ろそうとする反皇后派の陰謀を探っていた。「生き閻魔」と恐れられる顧千帆(こせんはん)は皇后の秘密が隠されているという絵を回収すべく銭塘県に向かう。

趙盼児(ちょう・ふんじ)は友人の孫三娘(そん・さんじょう)とともに銭塘で茶房を営んでいる。

ある日、顧千帆が茶房にやって来た。丁度その時、追われた賊が侵入し趙盼児は危ない所を顧千帆に助けられた。

お礼にお茶を差し出す趙盼児だったが、顧千帆が皇城司の者だとわかると怒りでわざとお茶を落とす。趙盼児は父親が皇城司に捕まり一家は没落、自分は官奴婢にさせられてしまったという忌まわしい過去があった。

その後、顧千帆は問題の絵を手に入れたが贋作だった。そして罠にはまり襲撃に遭うと偶然に通りがかった趙盼児に助けられる。更に彼女の観察力から刺客が官府の者だと知った。

そんな中、趙盼児はずっと世話をし将来を誓い合った欧陽旭の使いの者から、欧陽旭が科挙を三位で合格したと報告を受ける。

趙盼児は念願叶いようやく一緒になれると喜ぶが、欧陽旭は高官の娘と結婚することになったと言われ愕然とする。更に謝罪金を渡され、誓いの印の同心佩を返して欲しいと言われ・・。

訳が分からず何か裏があるのではと考えた趙盼児は、欧陽旭の真意を確かめるため東京へ行くことにする。

しかしお尋ね者となった顧千帆と共に商船に乗り込むことになり・・。

夢華録 ドラマ公式サイト

以下ネタバレあります。

朝廷内の権力争いや陰謀もとても面白く描かれていますが、やはりこのドラマでは3人の女性の生き方、身の処し方という点がメインのような気がしました。

そしてロマンスというとキラキラした展開を想像しがちですが、今回はかなり大人の恋愛でしたのでしっとりと落ち着いた内容になっていました。

3人の女性には勇気をもらいました。3人とも美人という点が出来過ぎな気がしましたが(笑)、様々な問題に対処しながら自分の道を開いて行く姿は勇ましかったです。いつも力を合わせてと言うところも好印象でした。

趙盼児というヒロインは、裏切られても嫌がらせを受けてもメソメソ泣いてばかりではなく、冷静に考えて解決していく。自分を卑下することなく誰にも頼らず生きようと頑張る。それがものすごくカッコイイ、男気溢れる女性でした。

画像:百度百科

趙盼児と顧千帆。

すんなりと上手く行くと思っていた二人のロマンスですが、紆余曲折ありました。行き違いがあったり、誤解があったり、それぞれに負い目があったり・・。

それでもお互いの気持ちは最後までブレずに良かったです。

ただ顧千帆が彼女のためにジャンジャンお金を使ってしまっているのは気になったし、そういう点を趙盼児はどう考えているのか?と思ったりしてしまいました。

画像:百度百科

孫三娘と杜長風。

この二人はとっても印象に残りました。特に孫三娘は酷い夫、そして息子までに捨てられてどん底に。でも彼女には料理の確かな才能があって自分の立ち位置をしっかりとつかみます。もう男なんて・・と思っていたはず。

そんな彼女に恋するのが杜長風。全くさえない男で不器用ですが、孫三娘を正しい目で見る人でもあり広く深い愛情が感じられました。そういう温かさに孫三娘も心が動いていくあたりが面白かったです。

お互いが再婚同士、酸いも甘いも知る2人ですからきっと幸せになるはず、ほっこりしました。

画像:百度百科 

宋引章と沈如琢。

宋引章は上昇志向が強くていろいろやらかしてくれました。何とか卑しい身分から抜け出したいと思うばかりに、沈如琢に騙されとんでもないことになります。身分のせいで理不尽な目に会う時代ですから、宋引章の気持ちもわかります。

そんなこんなを経験し成長する彼女の姿も見応えがありました。音楽への才能は間違いなくあるので、愛が全てではないし男に頼らず自分の道を究めて欲しいと思いました。でもその反面、とてもチャーミングな人なので「きっと良い人が現れるよ」と思いながら見ていました。

沈如琢は初めは良い人のようなのですが、やっぱり違った・・もっと善良感満載の役者さんで見事に裏切ってくれたなんていうのも面白いと思うけど・・。

 

振り返るといろいろなエピソードがあってその都度面白かったけれど、朝廷のあれこれの決着という点で見るとなんだか尻つぼみで迫力がありませんでした。

最後は欧陽旭が成敗されて「めでたし」なんだろうけれど、なんだか軽い感じがして終わった感がなかった。

でもこれで、趙盼児もスッキリして、なんの憂いもなく幸せになれるなら良かったです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。