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「指甲套(しこうとう)」〜中国清朝のつけ爪

中国ドラマの後宮ものを見ていると皇妃たちが指に長いカバーをしているのをよくみます。

一種の装飾として付けていたもので「指甲套(しこうとう)」と言います。

画像:悟空問答

「指甲套」はかなり身分の高い人しか付けることが出来なかったアクセサリー。

中国は古代から指が細く長いことが美人の条件だったようですが、それがエスカレートしたのか?清朝では爪を長く伸ばすのが流行だったようで、「指甲套(しこうとう)」はその長い爪を守るためのものでした。そもそも満州の女性たちは長い爪で高い身分を象徴していたそうです。

長い爪は「孝」の考え方から来ているという説があります。体の全ては親から与えられたもので大切にしなければいけないということから、体の一部である爪も切らずに大切にするということ。

初期の頃はただ爪を守ることだけが目的だったので作りもシンプルだったようですが、だんだんとアクセサリーとしても注目されるようになりました。職人の技術やデザイン性も向上していったからだと思います。素材も様々でべっ甲や瑪瑙、金、銀、銅などの金属製もありました。夏場でも指が蒸れないように側面などを削るなど工夫もされていたようです。

貴族の女性たちは労働をすることも家事をすることありませんでした。「指甲套」を付けていることが一種のステータスで身分の高さを示すものでもありました。

清朝を舞台にしたドラマでは、後宮の女性たちがこの「指甲套」を付けています。ただこれも自分の好きに選べるわけではありませんでした。身分(格付け)によってその長さや飾りとして付ける宝石が決まっていました。一目で上下関係がわかるわけです。

皇帝もたくさんいる妃の顔や身分を覚えるのは難しく、「指甲套」が頼りの一つになったようです。妃たちにとってもあの人だれ?なんて思って大失態をしたりしないためにも重要な見極めアイテムだったかも。

また銀製のものであれば毒物検査のために使うこともあったようで、ドラマ中にも料理やお茶に先を付けるというシーンが時々見られます。後宮の権力争いも熾烈で油断できないですから。宦官が銀の針を使って皇帝の食べるものを検査するのと同じですね。

その他にも色々と使い道があったようです。もちろん武器として使ったかも。

 

美意識の違いと言えばそれまでですが、爪を長く伸ばしたり、それを守るために「指甲套」というカバーをつけるというのもすごい考えだなと驚きました。

いくら何もしないと言ってもお茶を飲むときでさえ邪魔な気がします。さらにそれをアクセサリーにして身分を示すなんてよくぞ考えました。

ただ、動きが不便な分、仕草が優雅になりますね。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。

雨でも楽しく。
では、また。