我が家から歩いていけるパン屋さん。朝の6:30に開店し、焼き立てのパンを買うことが出来ます。大人気のお店です。
普通は早朝に行くことはないのですが、稀に仕事に行く前に寄ってお昼用のパンを買います。サンドイッチがボリュームがあって美味しいんです。バーガーも人気です。
最近、このパン屋さんでは懐かしい曲が店内に流れています。
チューリップとかユーミンとか井上陽水とかチェッカーズとか・・昭和のヒットソングと言えばいいのでしょうか?青春時代に毎日のように聞いていた曲が流れているんです。
CDなのか有線なのかわからないですが、例えば店長さんが好きなのかなと思っています。
この曲はパン屋さんではどうかな・・と思う時もあるのですが、つい口づさんでいる自分がいたりします。用は済んだのに店内ウロウロして聞いていたりすることも。😅
先日、朝パンを買いに寄ったら、早朝にも関わらずオフコースの「さよなら」が流れたんです。朝早くからこんなに悲しい曲!
私はオフコースは大好き。どの曲も本当に素晴らしいですし、小田さんの歌声に癒されます。悲しい曲もあるけれど、元気をもらえる、安らぎをもらえる曲も多く、オフコースの歌のおかげで乗り切れたこともたくさんあります。若い頃は本当に良く聞いていました。青春そのものといってもいいかもしれません。友達とコンサートにも行きました。
でも私はこの「さよなら」に限っては青春時代のある出来事のせいで、聞くと悲しい記憶が鮮明に蘇って、心はザワザワと波打ってしまうのです。
あの時、まさにこの「さよなら」が流れていたからです。
青春時代の辛く悲しい記憶・・そう言えばだいたい想像がつくと思うのですが、あの時は自分の価値や存在を全否定されたような気分でした。粉々だった。
忘れたくても、忘れることが出来ない記憶。漢字や数式は簡単に忘れちゃうのに感情が絡み合う記憶はなかなか消せません。
「さよなら」を聞くと瞬時にあの時に戻り、悲しい思いが蘇り涙が出ました。自分に自信が持てない私になりました。
もう何十年もまえの出来事なのに。情けない話です。
と、今まで思っていたのですが、パン屋さんで「さよなら」を聞いた時、全く平気だった。あれ?今までと違う。
うまく言えないのですが、あの記憶が懐かしい思い出に変わっていました。とても悲しい記憶だったのに、消し去りたいと思っていたのに、今は忘れなくていいとさえ思います。
あの時、泣くのを我慢していた自分も愛おしく思い出せる。純粋なあの時があって良かった、忘れてはいけない大切な思い出だと思えます。
自分で言うのもなんですが、美しい思い出に変わっていたんです。なんだか不思議な気分でした。
私の心がその記憶を受け入れたという事でしょうか?つまりこれは時間が為せるわざでしょうか?
こうやって、辛い記憶もいつかは懐かしい思い出となる事があるのですね。すごく長い間トラウマだと思っていたけれど、それがこんな風に思いがけず取り払われていることに気づき、もう大丈夫と思えるなんて驚きでした。
自分を縛っていたあの記憶が知らないうちに思い出になって、笑い話には出来ないまでも、振り返れば人生の中のただの一コマの事になっていました。
ずっと引きずる気持ちだと思っていましたが、そうではなかった。体の傷が治るように心の傷もいつしか癒えていました。
「さよなら」はとてもきれいな曲。でも悲しい曲には違いないから聞くとやっぱり泣いちゃいます。言葉の選び方も絶品です。
「さよなら」に悲しい記憶がリンクしていたけれど、もしかしたらこの曲を聞くたびに泣いたことで心のササクレが少しずつ治ったのかもしれません。
結局は長い時が必要だとしても、忘れたいと思っていた記憶がいつか穏やかな気持ちで振り返る事ができればいいですね。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
楽しいことだけ考えてみましょう。
では、また。