「明蘭~才媛の春~」 原題:知否知否応是緑肥 2018年 湖南テレビ
★★★★★+
73話と長編ですが、長さを感じません。飽きずに楽しく見られるドラマです。
意地悪もあり、悪だくみもあり、見ている私もその都度腸が煮えくり返る思いもしますが、それでも後味は悪くなく清々しい。
政権闘争や権力争いなど男達の世界も描かれており、それが飽きずに見られる要因かもしれません。
明蘭をめぐる二人のイケメンにも大注目。
中国ドラマ「琅琊榜(ろうやぼう)」のスタッフがおくる傑作です。
画像:百度
盛明蘭(せい・めいらん)=チャオ・リーイン(趙麗穎)
顧廷燁(こ・ていよう)=ウイリアム・フォン(馮紹峰)
斉衡(さい・こう):=チュー・イーロン(朱一龍)
盛墨蘭(せい・ぼくらん)=シー・シー(施詩)
盛如蘭(せい・じょらん)=ジャン・ジァニン(張佳寧)
北宋の時代、盛家の庶子として生まれた明蘭は幼い頃から虐げられ、さらに母は出産の折に子と共に亡くなってしまう。
母の「目立たず過ごしなさい」という言葉を忘れず賢さや才能を隠し、また育ての親とも言える祖母の教えを守り成長する。
美しく育った明蘭は国公家の御曹司斉衡に見初められ密かに将来を夢見るが、身分の違いはあまりにも高い壁だった。
正室、側室、嫡子、庶子、相続争い、結婚など家族の問題を背景に、逞しく生きていく明蘭の愛と成功の物語。
以下ネタバレあります。長いです、すいません。
北宋の時代、女性は生きにくい時代だったようです。
明蘭もでしゃばらず、控えめに、注意深く生きていますが、いざという時には弱い女性の味方、凛とした態度を見せます。そんな明蘭は頼りになるし、かっこいいです。
祖母が本当に公平に正しくものを見極められる人なので、そういう人に育てられた明蘭はラッキーでした。
物語は一難去ってまた一難の展開ですが、最後の戦いはハラハラ、どきどき、涙もあり感動もありの大スペクタクル。
本当に何度も見たくなる名作です。
チャオ・リーインさんの美しさ、可愛らしさが明蘭を鮮明に印象づけています。売れっ子女優さん、本当に明蘭にピッタリ。ドラマを通して感じる上品さはこの人だからこそかもしれません。
このドラマにも悪女がたくさん登場します。明蘭が果敢に立ち向かう相手です。
- 林噙霜(りん・きんそう)=盛家の側女で悪知恵を働かせ、明蘭の母を死に追いやります。夫が自分にメロメロなことをいいことに、都合が悪いとウソ泣きし倒れては哀れを誘います。こんな女に簡単に言いくるめられる明蘭の父も情けない。神経を逆なでするような女です。夫には愛されているので、欲を出さなければ幸せだったのではと思うのですが。娘の墨蘭もこの母にそっくり。
- 朱蔓娘(しゅ・ばんじょう)=顧廷燁の情の深さや家庭愛に飢えていることを逆手に取って取り入り、首尾よく側女となって一女一男をもうけます。顧廷燁に見限られると長男を連れて雲隠れ。最後の最後まで恨みを持ち、忘れた頃に刃を振りかざす油断ならない女です。身分が低い分、なりふり構わずみたいなところが怖かった。演じるリー・イーシャオさんの後半の迫力ある演技が見ものです。
- 秦氏(しんし)=顧廷燁の母(義母)ですが、人物像がすごい。顧廷燁を甘やかすだけ甘やかし放蕩息子に仕立て上げるという長きにわたる計略を見事にやりおおせた女。こんな事考えもつかないわ。この執念深さ、良く言えば忍耐強さには感心します。いつも影で糸を引き、自分は手をくださず、表に出ない陰険な女です。夫婦の愛や絆を信じない・・自分で自分を不幸にした人。とにかくこの人の困り顔が嫌い。
- 康夫人(こうふじん)=明蘭の父の正妻(王若弗)の姉。後半に姿を見せますが、ずっと影で人を操っていました。毒婦といえばこの人だと思います。詐欺師とも言える。夫からの愛は得られなかったようですが、当然です。人の幸せが許せず、何もかもが不満で関係のない人まで陥れようとします。こんな人好きになる人いないでしょう。最後まで反省もせず、精神状態が普通ではないです、哀れです。
考えてみると、多くの場合この時代の女性は結婚を自分で決められず、その上もし夫の愛を得られなかったら悲惨な一生になります。
嫉妬が心を歪め、他の人が幸せなことが憎らしい、許せないと考えていく。簡単には別の道を選べないすごく恐ろしい時代でした。
男性中心の社会の中で、精神的に抑圧される女性達。だからこそ、女性としてどう生きるべきかという教えは大切だと思いました。母親の責任は大きいと感じました。
話は変わって、明蘭の恋の物語。前半のお相手は斉衡、後半は顧廷燁とはっきりしています。明蘭を巡る二人の何気ないバチバチ感には思わずニヤリとしてしまいます。
- 斉衡=明蘭の初恋の相手。明蘭を一途に愛しますが、不器用なところもありそんなところも初々しくて好きでした。明蘭が顧廷燁に嫁ぐと知ると、顧廷燁に食ってかかりますが、逆にコテンパンにやり込められてしまう。うなだれちゃう斉衡も好きです。明蘭が嫁いだ後も未練タラタラで自分の思いを思いっきりぶつけてしまう斉衡も大好き。超お坊ちゃまなので上から目線的、自己中的なところもありますが、純粋な人です。高貴な家柄の壁はあまりにも高すぎました。明蘭も斉衡に嫁いでいればその後の人生はどうだったろうとつい考えてしまいます。
- 顧廷燁=ヘラヘラしていますが、実は文武両道で、一本筋の通った男気のある人。しかし若気のいたりとは言え、蔓娘を信じるなんて・・全く男って・・。かつての乳母と明蘭がいなかったら悲惨な人生だったはずです。彼は明蘭が絶対絶命の時にいつもじゃ~んと登場し助けるヒーローでもあります。そして作戦を練って明蘭を妻にしましたが、明蘭の気持ちがわからず斉衡にコンプレックスも持っている。豪快な男かと思えば愛に淡白な明蘭を前に右往左往してしまう彼がとてもチャーミングです。いつの間にかすっかり彼の虜になってしまいました。ただ、いくら政治的な戦略と言っても家族を渦中に巻き込むのはどうかなぁと思いました。最後は危機一髪でしたから、これはちょっと許せなかったです。
細部に渡って良く考えられたストーリーだし、人物像も丁寧に描かれているので、たくさんの人が登場する割にはわかりやすいと感じました。
北宋時代の官僚の家の様子や着るもの、馬球などの遊びも興味深く見ました。すんなりと明蘭の世界に誘い込まれ、そしてもう一度その世界を味わいたいと思わせてくれるドラマです。
ストーリーもキャストも素晴らしいので是非見ていただきたいドラマです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。