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中国ドラマ「君、花海棠の紅にあらず」感想〜究極の愛ゆえの

「君、花海棠の紅にあらず」 原題:鬢邊不是海棠紅 2020年 iQIYI(爱奇艺)
★★★★★+

評判が高く早く見たいと思っていたドラマです。京劇界の話も初めてで最初から最後まで楽しく見ました。

登場人物一人ひとりがとても魅力的で、キャストも名優揃いで素晴らしかったです。展開も早く、ストーリーも面白いのですぐに引き込まれました。

清朝末期の街の様子や人々の暮らしぶりもよく理解できましたし、京劇の衣装やメイクも素晴らしく、ストーリーだけでなく興味をひかれるポイントがたくさんありました。

しかしなんと言っても、尹正(イン・ジョン)の演技が圧巻でした。

画像:百度百科

程鳳台(チョン・フォンタイ)=黄暁明(ホアン・シャオミン)
商細蕊(シャン・シールイ)=尹正(イン・ジョン)
范湘児(ファン・シャンアル)=佘詩曼(カーメイン・シェー)

1930年代の北平(現在の北京)。新鋭の大商人の程鳳台(チョン・フォンタイ)はその辣腕ぶりで同業者の反感を買っていたが、商会の会長はそんな彼の機嫌を取ろうと商細蕊(シャン・シールイ)の舞台に招待する。

商細蕊は北平一の人気役者、しかしその類まれな才能と実力ゆえに他の役者たちからは妬まれ、疎まれていた。

商細蕊の舞台を観た程鳳台は彼の美しさに魅了され京劇に興味を持ち、また彼を対立する梨園の嫌がらせから救ったことで二人の心は通い合うようになる。

程鳳台の助けを借りて商細蕊は多くの障害を克服し、北平で京劇役者として確固たる足場を築き、京劇の未来も見据え情熱的に活動する。

しかし、いつしか戦争の影が・・。

 

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以下ネタバレあります。

原作のweb小説では二人の関係はBLで描かれているようですが、ドラマではブロマンス(Bromance=強い絆で結ばれた男性同士の親密な関係)になっています。それでもどことなくBLの雰囲気が漂っていたように思います。

まず驚いたのは商細蕊の美しさ。程鳳台同様に私も一瞬で釘付けになりました。衣装やお化粧もそうなのですが、所作が美しい。ものすごく引き込まれました。
商細蕊は一言でいうと役者バカというのか、京劇に対しては情熱的で信念があり、とにかくまっすぐで愛がある。でも素の人間性は無邪気で子供のよう、そして誠実です。

尹正さんがどの商細蕊も素晴らしく的確に演じてくれていたと思います。尹正さんだからこその商細蕊でした。このドラマでの数々の名演技、本当に感服します。

程鳳台はとにかくかっこいい。聡明で決断力もあり、男気もある。と思えば茶目っ気もあり誰もが惚れちゃう男です。演じている黄暁明さんは歳を重ねて重厚感もでて本当に魅力的な俳優になったと思います。

商細蕊と程鳳台の二人の関係を描いているドラマですが、二人はそれぞれ命をかけられるほど強い愛で結ばれています。私はやはり絆というより愛と言うほうがしっくりくる。

どこからそう感じるのか・・見つめ合ったときの間とか目の表情で、特別な愛だと感じました。このドラマを見ている間は男女のラブストーリーがなんだか薄っぺらく感じるほどでした。それほど深いものを感じました。

そしていつしか二人にも戦争という理不尽な嵐が襲ってきました。そして飲み込まれてしまいます。でもここから更に二人の愛がこんなにも深いんだということを思い知らされます。意識を取り戻した程鳳台からの電話を受ける商細蕊の様子、電話の向こうに商細蕊を感じている程鳳台。見ている私も胸を打たれました。

最後に程鳳台は北平を離れる決心をし、商細蕊にも香港行きの切符を渡しますが、商細蕊は「お元気で」と挨拶をします。商細蕊にしてみれば、仲間を置いて自分だけ逃げるわけには行かないでしょうし、北平を離れてはもう京劇役者としての自分は終わってしまう。彼にとって京劇は命そのものですから・・。とても辛い場面でした。

お互いに別れをわかっている。それでも雪降る駅で商細蕊を待つ程鳳台、化粧も落とさず一心不乱にかけてきた商細蕊は幻?商細蕊の深い思い、魂が見送りにきたのでしょう。永遠の別れになるのでしょうか?

お互いに深く愛しているからこその別れでした。
まさに知音の世界。最後は本当に涙、涙でした。

でも・・理不尽な力による混沌とした世界、息苦しい毎日、そんな悲劇的な色合いの最後でしたが、でもまだ希望もあり美しさを感じました。悲しくもあり、切なく辛いのですが、どこか清々しい気分で見終わりました。

梨園の役者を演じた俳優さん、その他の方々どなたも素晴らしく、ドラマの雰囲気を盛り上げてくれました。確かに最後はあれ?あの人どうなっちゃったんだっけ・・なんて思うこともあり、わからない部分もありました。でも、登場人物が一人ひとり魅力的だったし、ストーリー展開も面白く、最後まで心に染みるドラマでした。

見ごたえのある名作だと思います。

中国のサイトを見ると、やはり原作とは少し内容が変わっているようで、原作を読んでみたくなります。語学力もないし無理ですけど。
まずはノーカット版を見るべきかな。

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ちょっと目を引いたのは陳韌香(チェン・レンシャン)を演じた檀健次(タン・ジェンツー)さん。

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画像:daydaynews

1990年生まれ、アイドルグループMICのメンバーで俳優、歌手、ダンサーです。6歳から1年だけですが、熊本に住んでいたそうです。名前を見ると日本人かと勘違いしちゃいますが、中国の方です。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。