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中国ドラマ「永楽帝~大明天下の輝き~」感想~魅力ある登場人物を楽しもう

永楽帝~大明天下の輝き~」 山河月明 2022年 优酷

★★★☆☆

史実に基づいた内容の本格的な歴史劇です。明朝第3代皇帝永楽帝の15歳から65歳までを描いています。

骨太な歴史劇ではありますが深刻な場面だけでなく時々くすっと笑えるシーンもあり、それほど肩もこらない見やすいドラマでした。

ロマンス色は無く、またよくある後宮のいざこざもなく淡々と史実を追っているような印象でした。

主人公の朱棣(しゅ・てい)は自由闊達な性格でありながら、時には失意や弱さ、苦悩などもみせる人間味あふれる人物に描かれていました。次から次へとやってくる課題にもがく姿は身近に感じられ、それがとても新鮮でした。

そして全体を通して強く感じたのは家族の絆。朱棣の父(朱元璋)の愛情や兄との絆が丁寧に描かれていたし、また彼の妻となった徐妙雲(じょ・みょううん)の家族には温かさを感じほっこりしました。

最後まで面白く見ましたが、気になったのは時々の急な展開。カットされているからか?と思いましたが、どうやら80話くらいの予定が事情により45話になったようで、それでこのようなぶつ切り状態の展開となってしまったようです。

これがドラマの奥深さを奪ってしまっているのではと残念でした。

それでも、個性豊かな登場人物を若手、ベテラン俳優がしっかりと演じ切ってくれて、一人一人がとても魅力的でした。キャストの力を感じる作品でした。

画像:sohu.com

燕王・朱棣(しゅ・てい)=馮紹峰(ウィリアム・フォン)/ 成毅 (チョン・イー)
洪武帝朱元璋(しゅ・げんしょう)=陳宝国 ( チェン・バオグオ)
徐妙雲(じょ・みょううん)= 穎児 ( イン・アル)/ 雨婷児(ユー・ティアー)
徐達(じょ・たつ)=張豊毅 (チャン・フォンイー

朱元璋は貧農から身を起こし、1368年(鎌倉時代末期)に南京を都に明を建国、洪武帝となる。

しかし北の元朝を追い出したものの、残党はモンゴル高原でいまだ勢力を保っていた。この北元討伐の為、洪武帝は大軍を派遣し激しい戦闘を続けていた。

洪武帝は北元(モンゴル)を討つため将軍・徐達の遠征を決めた。そして勝利の褒章として、四男の燕王・朱棣(しゅ・てい)と徐達の長女・妙雲(みょううん)との婚姻を約束した。

妙雲は女学者と噂されるほど聡明で有能、徐達自慢の娘だ。徐達は腕白な朱棣を気に入らず、娘には釣り合わないと不満だった。しかし妙雲はこの婚姻も冷静に受け止めていた。

一方の朱棣は勝手に決められた婚姻が嫌で宮廷を逃げ出す。名を偽り北元討伐に向かう軍に紛れ込むが、徐達にはすぐにバレてしまった。一兵卒として軍に身を投じ国のために辺境防備に尽くしたいと決意を述べるが、身分を偽って入った罰として棒叩きの刑に。 

軍の規律もわからず何度も失態を繰り返した朱棣も、いよいよ元軍の本陣襲撃の際に戦場に赴く。しかし自分を救うために矢に射抜かれ死んだ者、戦死した多くの仲間、真の戦場を目の当たりにし愕然とするのだった。

永楽帝の激動の生涯を描いた本格的歴史劇。

中国ドラマ「永楽帝~大明天下の輝き~」BS12 

以下ネタバレあります。

出だしの朱棣(しゅ・てい)は成毅 (チョン・イー)が演じていますが、温室育ちのお坊ちゃま感が良く出ていたと思います。ただ10代の役ですし序盤だけの出演ですから、もっと若い俳優でも良かったのでは?と思ったりもしました。

でも正直、成毅が出演していなかったら私も見ていないかもしれないです。

登場人物が多い割には混乱なく落ち着いて見られました。一番苦戦したのは外敵となるモンゴルの人物の名前が難しかったこと。覚えられない・・(^^;) 相関図など欲しい所です。

そしてもったいないと思うのは、急すぎる展開です。朱棣(しゅ・てい)が結婚を嫌がって逃げ出してから、あれ?っと思う間に結婚となり、また妙雲(みょううん)が懐妊するとすぐに出産だったりとかなり慌ただしい展開でした。もう少し何とかならなかったのかなと思いました。

この辺りの朱棣の心の動きが見えず、物足りなさを感じました。本来ならもう少し妙雲との関わり、気持ちの変化などもあったのではと思われますので。

そして、朱棣と妙雲の夫婦の間には強い信頼関係が築かれたようですが、その過程もあまり描かれていません。

そんな風なこともあり、実はあまり入り込めませんでした。

それでも最後まで見られたのは、朱棣(しゅ・てい)を取り巻く登場人物の魅力のおかげかもしれないです。

朱棣の父:洪武帝と母が印象に残っています。洪武帝は厳しい面もありながらキュートでした。ベテラン俳優の演技が素晴らしい事もありますが、皇帝でありながらも普通の夫婦のような素朴な描かれ方が良かったです。愛情あふれる家族に映りました。

それから兄の朱標(しゅ・ひょう)は政治的手腕もあり、穏やかで優秀でした。朱棣もこの兄を慕っていたし、二人の絆は深かった。この人の早すぎる死が色々な人にとって誤算だったかも。それにしてもこの有能な人の息子がどうしてあんなに分別のないダメな人間になってしまうのか・・。彼のせいだけではないけれど、哀れを感じました。

イメージが覆されたのは、永楽帝の長男の高熾(後の洪熙帝)です。私はなんとなく箸にも棒にもかからないようなイメージを持っていたのですが、それなりにしっかりとした太子だったのだなと思いました。

そして、朝廷の官吏たち。自分の信念を貫き通す真っすぐ過ぎる人や、誠実な人と思いきや腹の中が読めない人、期待を裏切るような人、いろいろいました。そんな一筋縄ではいかない官吏たちをまとめる皇帝も大変だなと思いました。

そんな登場人物一人一人にスポットライトを当てて見ていくと本当に興味深い作品です。この人の事もっと知りたいと思わせてくれました。

明の時代を舞台にした中国ドラマはたくさんあります。歴史上の登場人物であっても描かれ方次第で印象が変わる・・これは仕方のないことですが、それだからこそもう一度しっかりこの時代を学びたいと思わせてくれるドラマでした。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。