聞いた順になっています。
Audible版『しゃばけ 』 | 畠中 恵 | Audible.co.jp
大店の若旦那一太郎がこっそりと外出した帰りに殺しを目撃して始まる時代劇ミステリー。
一太郎はなぜか妖怪に囲まれて暮らしています。妖怪たちがそれぞれ魅力的に描かれていて、自然に物語に溶け込み楽しく聞くことが出来ます。
ずっとなぜ妖怪たちと?という疑問も持ちながらも、なぜが違和感を感じることがありません。
加えてしっかりしたミステリーとなっていて緊張感もあり面白かったです。
ナレーションも聞きやすく味わい深く、物語の世界観を膨らませてくれました。
ほんと、面白い!
Audible版『その日のまえに 』 | 重松 清 | Audible.co.jp
一つ一つを短編としても読める連作です。死について描かれています。
聞きながら何度も泣きました。気持ちの描写が丁寧で感情移入しやすいです。
日常の生活の中に死はあります。それを重くなり過ぎずに暗くなり過ぎずに教えてくれています。
死によって別れることになっても、すぐにスパッと切れるわけではない。クリックするようにはいかないというのは、自分の経験とも照らして本当にそうだなと思い出しました。
29.弥勒(みろく)の月 あさのあつこ ナレーター:長谷川俊介
Audible版『弥勒(みろく)の月 』 | あさの あつこ | Audible.co.jp
小間物問屋遠野屋・若女将の水死体に端を発する時代劇ミステリー。
登場人物のキャラが際立っていて一人ひとり印象に残ります。表立って女性が登場しないせいか硬派。
謎解きミステリーではあるのですが、遠野屋の主人のそれまでの人生を思うとやりきれないし、切ない物語でした。最後はとても美しく描かれていて尚更辛くなりました。
私は同心の信次郎は好きになれなかったな。
30.線は、僕を描く砥上裕將 ナレーター:白石兼斗
Audible版『線は、僕を描く 』 | 砥上 裕將 | Audible.co.jp
ひょんなことから水墨画の大先生に弟子入りすることになった男子大学生が水墨画を通して自分を取り戻す物語。
水墨画というものを知ることが出来て面白かったです。他の絵画と違う点、様々な技法も知らなかったことばかりだったので水墨画に興味が湧いてきました。
中国、韓国の歴史ドラマを見ると良く蘭や竹を墨で描いている場面が出てきますが、昔からの題材なのですね。
ストーリーは全てのことが奇跡的で真実味が薄く、そのため感情移入は難しかったです。また恋も描かれていますが、余計だったかなと思ってしまいました。
それでも「線は、僕を描く」という意味は十分に伝わってきました。
Audible版『森鴎外「高瀬舟」 』 | 森 鴎外 | Audible.co.jp
罪人を島まで運ぶ高瀬舟。ある日弟殺しで舟に乗せられた罪人の一見楽しそうな様子に護送役の同心は思わず何を考えているんだと問う。すると意外な答えが帰ってきた。
35分と短いのですが、深く考えさせられ余韻の残る物語でした。
安楽死(と言っていいのか?)の事、足るを知るということ・・。
今をすっかり満足出来れば穏やかに幸せに暮らせるでしょうが、なかなか難しいですよね。
Audible版『火車 』 | 宮部 みゆき | Audible.co.jp
自分の過去を消すために他人になりすます女を追う話です。
文章力も流石で、ありありと情景や人物が浮かびます。最後もとてもドラマチックな終わり方でした。
小説としてめちゃくちゃ面白いのですが、三浦友和さんのナレーターが強弱ついてとても素晴らしいものでした。ドラマか映画を見ているようで、改めて三浦友和さんの演技力に感服しました。
臨場感溢れて最初から最後まで心から面白かったと思えたオーディブルです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。