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韓国ドラマ「シークレット・ブティック」感想〜人生を奪った悪魔への耐え抜いた末の鉄槌

「シークレット・ブティック」 시크릿 부티크 2019年 SBS TV

★★★★☆

全てを奪われたヒロインの復讐劇ですが、その時のために長く耐えたその壮絶な人生に胸が苦しくなりました。

彼女を取り巻く人々の愛や憎悪が複雑に絡み合い危機が次々と襲ってくる展開で、先が気になり飽きることなく最後まで面白く見ました。

相手を追い詰めていく緊張感やハラハラ感、やられたらやり返すという展開から目が離せません。特に後半は加速度がついて見ごたえがありました。

愛憎劇とも言えるのでしょうが、私はそれほどドロドロ感は感じませんでした。ヒロインが心を見せず常に感情的になることがなかったからだと思います。

展開としてはお互いにやり合い荒れ狂っていても底は暗く静かな深海を思わせるようなドラマでした。

キャストが登場人物にドンピシャで気持ちが良かったです。このこともドラマに入り込めた要因です。

何よりもヒロインのキム・ソナのカリスマ性が光ったドラマでした。体型もスリムでどのファッションも素敵、とてもキレイでした。今回は意志も強くクールな女性の役でしたが、役柄によっていつも印象が違うのは流石です。


画像:programs.sbs.co.kr

ジェニー・チャン/チャン・ドヨン(キム・ソナ)=Jブティック社
キム・ヨオク(チャン・ミヒ)=デオグループ総帥
ウィ・イェナム(パク・ヒボン)=ヨオクの長女、デオコスメ専務
ユン・ソヌキム・ジェヨン)=ジェニーの右腕、弁護士
ウィ・ジョンヒョク(キム・テフン)=ヨオクの長男、ジェニーの夫

幼い頃にバスの転覆事故で両親を亡くしたジェニー。施設を出たあと江南の浴場で雑用をしていた時にヨオクの目に止まり、ヨオクの長女の世話係として財閥のウィ家に入った。

歳月が流れウィ家で成長したジェニーはJブティックの社長へのし上がっていた。このブティックは裏で上流階級の人々の表には出せない問題を片付けている。政財界人の弱みを握るジェニーは影の実力者としてその名を知られていた。

今はヨオクの下で働くジェニーだったが、実は彼女こそが財閥ウィ家の真の後継者(孫)。ジェニーは、嫁と偽りウィ家に入り込み権力と栄華を極めているヨオクへ復讐し、デオグループの全てを奪い返すという強い決心を胸に秘めていた。

【韓国ドラマ】シークレット・ブティック|ドラマ公式サイト

以下ネタバレあります。

ジェニーは事故で両親が死亡し、その後自分自身も死の恐怖にさらされます。ある時偶然にウィ家の孫は自分だと知り、自分を拾ってくれたヨオクこそが敵だったと知ります。ただ、それを問い詰めるわけでもなくその後の長きに渡って復讐の爪を磨いていきます。

ジェニーでなくてもなんとかこの強欲なヨオクには一矢報いたいと思うのは当然のような気がしました。人から奪った富と権力を我がもの顔で振りかざし、財閥の気取った物言いやその態度を目の前で見せられれば、腸が煮えくり返るというものです。

あの若さでジェニーが冷静に考えられたのは賢さもあったでしょうが、よほどの恨みと覚悟があったのだろうと想像します。

敵役のヨオクのいやらしさが十二分にでているチャン・ミヒさんの演技がスゴイです。魔女のようでした。

 

壮絶な人生を送るジェニーですが、近くに彼女を守る二人の男性がいます。

ひとりはヨオクの長男のジョンヒョク、この人は子供の頃にジェニーこそが本当の孫だと知りました。自分はウィ家とは関係のない人間だとわかってもずっと口を閉ざしていた。

彼はずっと贖罪の気持ちで彼女の傍で生きていたのだと思います。復讐をする彼女をずっと守っていました。愛とも言えるかもしれないけれど、私は贖罪の意味のほうが強いと感じていました。だから彼女が復讐として望んだ結婚も逆らわずにしたのだと。

母親のしたことを知りながら、大人になっても正そうとしなかった罪は大きいと思います。卑怯とも思えた。

ジョンヒョクの心は本当に複雑。彼の辛い人生を思うと運命に翻弄され気の毒だと思います。最後は自らの死を持って母親を捨てるというのも・・。
子供の頃のジェニーにとって彼は光だったと思うし、だからこそ彼を愛したのだと思うし、ずっと大切に思っていたと思いますので、この二人の微妙な関係は辛かったです。

演じたキム・テフンさんは私が大好きな俳優の一人です。キャストにこの人がいたから見始めた作品でもあります。この人の演技には心が的確に表現されていて素晴らしいと思います。温かく善良な役から悪役まで何を演じてもこの人でなくちゃと思わせてくれる素晴らしい俳優です。

 

もうひとりはソヌ、施設にいたころからの弟分。彼はジェニーを心から愛していて彼女の「家」になりたいと思っています。ジェニーを心配しながらずっと協力者であり続ける姿は頼もしくもあり切なかったです。ジェニーも彼の思いは知っていても、彼の愛はきっと成就しないだろうと思うとまた切なくなりました。

 

結局悪事は白日の下にさらされ成敗されたけれど、ヨオクの最後は気に入らなかった。あんなにキレイな最後も腹立たしい。もっとボロボロな姿を見たかった。死んでもなおひっぱたきたいと思う私は性悪でしょうか?

罪を償ったジェニーはソヌとまた前に進み始めます。この後は穏やかな人生を送って欲しいと強く願いました。

富や権力では幸せは得られないのだと強く感じたドラマでした。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。