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韓国ドラマ「ハッシュ ~沈黙注意報~」感想〜新聞記者の正義と葛藤、そして日常

「ハッシュ ~沈黙注意報~」 허쇠 H.U.S.H 2020年 JTBC

★★★☆☆

ファン・ジョンミンの出演ドラマは久々なので楽しみでした。彼のドラマでは「アクシデント・カップル」が大好きです。演技力の高さに脱帽でした。

今回の「ハッシュ」は新聞記者の正義や葛藤をリアルに描いた社会派ドラマですが、思っていたほどの盛り上がりもなく、なんとなくだらんと間延びしたような印象でした。

もう少し壮大なドラマを期待しイメージしていただけに、逆にリアル過ぎてしまったのかなという感想です。結局は政治につながるあたりも新鮮味に欠け興味も半減してしまいました。

それでも必要以上に内容を美化することもなく、偏ることもなく、納得出来なくてもこれが本当なんでしょう。まさに現実を突きつけられるストーリーでした。

韓国の就職事情や日常も窺い知れて、興味深いところもありました。インターンという危うい立場に身がつまされ、「ユッケジャン」がお葬式のスープだと言うことなど初めて知ることもありました。

キャストはファン・ジョンミンだけでなくベテラン演技派揃いで個性的な記者を魅力的に演じており、重厚感、安心感がありました。若手キャストも良かったです。

ただ、もう少し色味が欲しかったです。全体的に地味な印象でした。

画像:hancinema.net

ハン・ジュンヒョク(ファン・ジョンミン)=デジタルニュース部記者
イ・ジス(ユナ)=インターン
オ・スヨンキョンスジン)=インターン
ナ・ソンウォン(ソン・ビョンホ)=編集局長
ヤン・ユンギョン(ユソン)=社会部次長

ハン・ジュンヒョクは毎日韓国新聞社の社会部で優秀な記者だったが、ある事件をきっかけに会社に失望し、記者としての情熱を失ってしまった。今では流刑地とも呼ばれるデジタルニュース部で毎日を適当に送っている。

そんな彼に新しく入社したインターン4人の教育係が命じられた。

インターン4人は正社員になることを目指し努力するが・・。

ある日「最終的に地方大学出身のスヨンは落とせ」と局長に指示されジュンヒョクは困惑する。彼はスヨンを高く評価していたからだ。

その上この時の会話の一部始終をインターン達に聞かれてしまった。

国会議員の不正採用疑惑のスクープが一面を飾りお祝いムードの中でも、ジュンヒョクはスヨンのことが気にかかっていた。差し入れを買い、まだ社内にいるスヨンのもとへ向うが彼女は目の前で死んでしまう。

スヨンの死は自殺とみられたが、同じくインターンのジスだけは他殺だと主張する。

一方、不正採用疑惑の国会議員には無罪判決が出された。その判決直後に局長の出した誤報謝罪記事のタイミングの速さに報道の不正を疑ったジュンヒョクはある決心をする。

そんな折、スヨンの葬儀場で会ったジスに「6年前の過ちについて知っている」と耳打ちされたジョンヒョクは苦い過去が蘇り体をこわばらせた。

ハッシュ ~沈黙注意報~ - BSフジ

以下ネタバレあります。

社会派ドラマですが、コミカルな場面もあります。堅苦しく深刻な場面ばかりではないので、ドラマとしてはすんなりと受け入れられました。ベテラン俳優さんたちの掛け合いシーンなどは流石にテンポよく楽しいです。

見終わって考えさせられることも多々あり見て良かったと思っています。

ただ、最初は復讐っぽいニオイもしたのですが、そうでもなく・・面白くないというわけでもないのですが、今一つ夢中にはなれませんでした。

特に後半の展開は少し分かりにくく、ジョンヒョクの孤軍奮闘でも何がしたいのかよくわからず、一人ひとりの思惑もはっきりしなかったので焦点をどこに持っていけば良いのか分からなくなりました。

そのせいで集中できず、気持ちも削がれてしまいました。ドラマ最初の取っ掛かり部分は面白かっただけに尻窄みの感じです。

HUSH(ハッシュ)にもいくつかの意味を持たせているのですが、それも分かりにくかったです。せっかくの題名ですからもっと強調しても良かったのかも。

悪者をギャフンと言わせるというなら、もっと徹底的に懲らしめてほしかったです。最終的には勧善懲悪的とはならず、私としては後味スッキリとは言えませんでした。

私は局長がとても嫌いでした。言葉巧みに人を丸め込もうとする嫌な奴。棚ぼたで昇進するのを見て悔しくて地団駄を踏む思いでした。現実ではこういう具合なんだよねと思いましたが、ここでこんなリアルを見せられても・・腹が立つだけ。

画像:ilyoseoul.co.kr

新聞記者といえども結局はサラリーマン。夢や希望に胸を膨らませて仕事をしていたのは昔のこと、今ではその情熱はなくなって・・。

何もかも正義で押し通すことも出来ず葛藤があり、後悔も挫折も罪悪感もあり、おかしいと思っても流れに乗ってしまう・・当然の事とは思いながらも寂しい気持ちにもなりました。

会社の中では妥協点を見つけてやっていくしかない・・。誰にでも思い当たるのではないでしょうか?

それでも仲間同士のつながりは楽しく気持ちよく描かれていたし、それまでのことが何もかもダメというわけではないというメッセージでもあるのでしょう。ちょっぴり悲しいけれど最後は希望もあるストーリーでした。

様々なメッセージが込められた作品でしたが、何よりわかりにくいという点でそれらが十分に伝わらなかったと思います。素晴らしい俳優さんたちが大勢出演しているだけにもったいないと思いました。。

ファン・ジョンミンの魅力で最後まで見ましたが、爽快感はなく少し中途半端な感じのストーリーでした。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。