「ファントム」 유령 2012年 SBS
★★★★★
最初からスピード感ある展開と謎の連続で面白かったです。ストーリーがしっかりしているので、時代を超えて楽しめる作品だと思います。
警視庁サイバー捜査隊の話で、天才ハッカーと言ってもその言葉を知るだけで実感のわかない私には少し難しいと感じることもありましたが、全く飽きることなく見終えました。
悪者を追い詰めたと思ってもかわされ叩かれの展開でハラハラが続きます。
犯人は早い段階でわかっているのですが、協力している人があちこちにいて誰もが怪しく見えます。そのおかげか中だるみもなく、謎の奥へ奥へと突き進むような内容になっています。
ロマンス色はなく、どちらかというと正義を守る同志の絆に重点を置いていたように思います。人を信じるとはどういうことかと少し考えさせられました。
キャストはなんといってもソ・ジソプの独特の存在感が光っています。なんとなくドラマがピシッと締まって見えました。そのほかのキャストも演技派の俳優さん達が多く、それぞれに味があり安心して見ていられました。
私はオム・ギジュン目当てで視聴しましたが、期待したほど活躍どころがなく少し拍子抜け。残念でした。
2024年の今見ても、あまり古さを感じさせず最後まで夢中になって見ていました。良く練られた脚本とキャスティング効果で完成度の高さを感じた作品です。
キム・ウヒョン(ソ・ジソプ)=サイバー捜査隊チーム長
パク・ギヨン(チェ・ダニエル)=ハッカー、ネット新聞社代表
ユ・ガンミ(イ・ヨニ)=ウヒョンの相棒捜査員
チョ・ヒョンミン(オム・ギジュン)=セガン証券代表
警視庁のサイバー捜査隊チーム長のキム・ウヒョンは国際的ハッカーの「ハデス」を追っていた。
そしてついにハデスのIPアドレスを突き止め逮捕に向かうが、人気女優シン・ヒョジョンの墜落死に遭遇する。そしてハデスのIPアドレスはヒョジョンの自宅を示していたことに驚く。
ヒョジョンは性接待疑惑で騒がれていて自身のSNSに遺書が投稿されていたことから、警察では高層マンションの自宅から飛び降りた自殺だと発表する。
同じ頃、ハデスがハッキングした動画が電光掲示板に流れた。ヒョジョンが何者かに突き落とされる殺害時の動画だった。
ウヒョンはハデスの居場所を特定しついに捕まえるが、その男は警察学校の同期でルームメイト、そして親友だったパク・ギヨンだった。
ギヨンは捜すものがあると話し出す。
ヒョジョンが放送局に送ろうとしていた「ファントム」というPCファイルを見つけ出せれば犯人がわかる、さらに犯人は世界地図の模様の腕時計をしていたと言い残し逃げてしまった。
ウヒョンは現場に戻りヒョジョンを殺した犯人が監視カメラに映っていないことを不思議に思い、推理を巡らせる。
一方のギヨンは警察の証拠保管室に忍び込み、シン・ヒョジョンのPCから「ファントム」を探し出した。それはある殺人現場の映像で、そこにはウヒョンの姿が・・。
以下ネタバレあります。
冷静に考えると韓ドラに良くある「それは無理じゃない?」という事は多々ありました。それでも1話からすぐに引き込まれて、毎回ハラハラドキドキしながら面白く見ました。
ソ・ジソプが二役、ウヒョンとギヨンを演じます。当然声は同じなので二役といっても・・と思っていたのですが、ふとした時にギヨンが顔を出す感じで流石の演技だなと思いながら見ていました。
ユ・ガンミを演じたイ・ヨニは硬派な感じが出ていて良かったのですが、演技力はイマイチだったかな。前半はともかく後半は影が薄くなってしまったように感じました。
最後はあっけない幕切れで、少し物足りないと言うか、納得がいきませんでした。あれ程卑怯で冷徹な人間が、あんなことで気持ちが変わったりするものだろうかという疑問が湧き上がりました。
最後まで怪物のようでいて欲しい気もしましたが、そこはやはり怪物にはなり切れなかった人間としての心があって切なさを誘う所なのかもしれません。
彼にとっては復讐でもあったわけですが、この復讐の気持ちについてはあまり描かれていないのです。もう少し丁寧にこの部分をクローズアップしてくれれば見方も変わったかなと思います。
ギヨンはウヒョンとなって生き続けるようで、ほっとしました。ギヨンの憧れていた正義だけを貫く警察官になってほしいです。
とにかくとても古い作品でありながら、今見ても十分に楽しめるという事に感動しました。素晴らしかったです。
最後まで読んでくださってありがとうございます。