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韓国ドラマ「スノードロップ」感想~最後の5分でラブストーリーに

スノードロップ」 설강화 2021年 JTBC

★★★★☆

とっても辛い内容だったし、正直面白いとは思えず途中で何度も挫折しかけましたが、何とか完走しました。

ギブアップせず、最後まで見て本当に良かったです。

背景になる時代の難しさはあるものの、物語は丁寧に描かれゆっくりと進むので分かりやすかったです。

登場人物も多く最初は大変でしたが、段々と整理されていきます。物語のポイントとなる人物も多いので相関図などで予習しておくと楽かもしれないです。

主人公二人のロマンスという面ではロミオとジュリエット以上にどうにもならない、苦しい展開になるんだろうと誰もがすぐに予想できるでしょう。

それでもそこはかとないロマンスが流れていて、それがまたとても味わいのあるものになっています。でもそれほど色濃く描かれていないので、始めからラブストーリーとして見始めるとがっかりすると思います。

物語のほとんどが緊迫感溢れる北のスパイと安企部との攻防で占められていて、そしてそれが何時終わるのかと思うほど長かった。なので私はずっとパニックドラマだと思って見ました。

裏切りも多く、死ぬ人も多く、理不尽なことも多く、イラ立つことも多く・・見ていて怒りや絶望、諦めが交互に襲ってくるような本当にキツイ展開でした。

キャストは演技派のベテラン俳優が多数出演しており圧巻でした。彼らのおかげで人物のキャラが際立っていたし、全体的に重厚感のあるまとまった作品になっていたと思います。

またアクションシーンも見応えがありました。どこか懐かしいノスタルジックな音楽もドラマに良く合っていて素敵でした。

最後まで見て初めて目の前が開けるようなドラマですので、どうぞ最後までご覧ください。

画像:JTBC

イム・スホ(チョン・ヘイン)=ドイツの大学院生、北朝鮮工作員
ウン・ヨンロ(キム・ジス)=女子大の英文科1年生
カン・チョンヤ(ユ・インナ)=外科医、工作員
イ・ガンム(チャン・スンジョ)=安全企画部チーム長
ウン・チャンス(ホ・ジュノ)=ヨンロの父、安全企画部部長
ケ・ブノク(キム・ヘユン)=寮の電話交換手

民主化運動が盛んな1987年。ホス女子大1年生のウン・ヨンロは規律の厳しい女子寮の中でも伸び伸びと楽しく暮らしていた。

誘われて合コンに参加したヨンロは、イム・スホに一目惚れ。ある日、レコード店で偶然にスホに会うが、安企部の見回りに思わず隠れる彼を学生運動家と思いとっさに恋人のふりをして守った。そして思い切ってデートに誘い、約束の場所でずっと彼を待っていたが・・。

6ヶ月後、スホはハン教授拉致の任務を遂行中、事故に遭い怪我をする。安企部のイ・ガンムはスホが北の工作員だと疑っており、この時も執拗にスホを追跡する。

スホはなんとか安企部の追跡を振り切って女子寮の一室に飛び込んだ。

部屋に一人戻ったヨンロは、合コンで知り合ったスホが血だらけで倒れていて驚く。

ヨンロがスホを助けようと懸命になってる時、拳銃を持ったガンム達が女子寮に押し入って来た。抵抗する寮長・・。

意識を取り戻したスホは逃げようとするが、外にも安企部が張り込んでいて動くことが出来ない。ヨンロは機転を利かせて何とかガンム達をやり過ごすことが出来た。

スホは女子寮の屋上に隠れて逃げるチャンスを窺っていた。ヨンロは男子にも開放されるオープンキャンパスの時なら怪しまれず逃げられるのでは思い付き・・。

韓国ドラマ『スノードロップ』公式サイト|ディズニープラス

【10/21~】スノードロップ | BSJapanext | BS無料放送の"つながる"テレビ局

以下ネタバレあります。

出だしは爽やかな二人がお似合いで本当に素敵なカップルに見えました。私はそのまま普通にロマンスで良かったんですが・・。

女子大生の寮生活のあれこれも楽しく見ました。でも、すぐに物語の様相は変わります。どうしてこんなことに・・。

学生寮での立てこもりが始まると、北のスパイと安企部の心理戦、緊張の連続で先も見えず、それがずっと続くのでキツかったです。それでもハラハラして目が離せなかったし、一人一人の弱さや狡さ、邪な部分が出てきてその変化を見れば人間ドラマのようで面白かったです。

特にヒロインのヨンロはどういう気持ちだっただろう。ほのかに恋心を持った相手、隠れてまで怪我を手当てした人が北のスパイで自分達を人質にして立てこもることになるなんて。

心理的にはかなり追い詰められただろうと思いますが、残念ながらそれが十分に表現されていなかったような・・あまり感情移入できませんでした。

そしてスホは・・。

私はスパイがどんなものなのか知りません。彼らがどれだけの覚悟を持って任務にあたるのか、何を信じて行動するのか・・。

何も知らないけれど、このドラマのようなあの緊迫した中で恋愛感情など生まれるだろうか?と思ってしまいました。とはいえジェームズ・ボンドにはボンドガールがいるから・・。

スパイに今一つ実感が持てない中で更にこんなことある?という疑問もあり、物語に入り込めませんでした。スパイにしては脇が甘いような・・。

自分の命を懸けてまでヨンロを助けようとするスホはカッコいいし素敵だけれど、これも釈然としなかった。結局は彼の中には北への不信感も出てきて、愛が勝ったということかな?

 

狭い空間の中で長く膠着状態が続く展開。同じことの繰り返しのようでいささか苦戦しました。でもこういう時にベテラン俳優の演技に助けてもらいました。ドタバタに近いあれこれあって、笑う事はないにしても飽きさせない工夫かなと思いました。

安企部のトリオがそれぞれ個性的でしたし、その妻たちも鼻持ちならない強烈な人達。この人たちがいて何とか見続けられたかなとも感じています。

 

キャストではチョン・ヘインはアクションもカッコよかったし、やはりキラキラ度が違う、さすがの吸引力でした。

ヨンロを演じたキム・ジスについては演技力不足を指摘する声もありましたが、私は可愛くて魅力的な女優さんだなと思いました。ただ今回は演技派俳優がひしめく中、やはり見劣りするのは仕方ないかなと思いました。

印象に残るのはブノクを演じたキム・ヘユン。可愛い役もするかと思えば、こんな憎まれ役もピッタリでした。このブノクが本当に嫌で、それもあって挫折しかかりました。演技が上手すぎて本当にこういう人かと思ってしまうほどでした。

たくさんの魅力あふれる演技派俳優の競演で、これも見どころの一つかと思います。

 

この物語のこの事件はどう終わるんだろう、うやむやになってしまうのか?と心配でした。勧善懲悪と言えるかどうかわかりませんが、一応の決着がつき胸をなでおろしました。

その上であんな経験をしたヨンロがこの先どう生きていくのか心配になりました。あまりにも複雑な経験だったし、泣いてすっきりするという話ではないですよね。引きずるなと言われても、忘れろと言われても無理だろし、立ち直れるのか・・。

あれからどれだけ時間が経ったのかわからなかったけれど、とにかくラスト5分がたまらなくいいのです。切なくて涙がどっと溢れました。

一気にこの作品がチョン・ヘインのラブストーリーになりました。このラストを見るために苦しい道のりを進んできたような気さえしました。

スホは普通の恋がしたかったですよね、二人で普通に楽しみたかったですよね、初めから無理なことだったけど。

ヨンロは彼の思いが文字ではなく声で聞けたこと、これでなんとか生きられるんじゃないかなと思いました。ラブレターですものね。

そしてスノードロップが咲いてましたね。あれは寮の窓辺の鉢ですか?スホの血痕を隠した。

突っ込み所もあり、不満や疑問に感じる所も多々あったドラマでしたが、最後の感動はやはり素晴らしい物でした。これまでのあれこれを吹き飛ばしてくれるほどの威力がありました。

でも最後まで見続けられる原動力はやはりチョン・ヘインの魅力だったかな~と思ってます。

余韻の残るドラマでした。

因みにスノードロップってスズランの事だと思っていましたが、違うのですね。「待雪草」とも呼ばれ、雪が溶ける頃に開花するそうです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。