「美人骨～後編：一生一世～」 一生一世 2021年 爱奇艺
★★★★★＋
良かったぁ～。面白かったというよりすごく心にしみて良かったです。
私は前編よりも好きかもしれないです。前編は古装劇ですが、こちらは現代劇でかなり趣が違いますし、物語がわかりやすかったです。
前編同様とてもゆっくりとした展開です。私はそれが心地よかったのですが、じれったくてダメだという人もいるかもしれません。静かな川の流れような展開の物語です。
「美人骨」として前編をそのまま引き継いで物語が展開されるわけではないので、別のドラマとして楽しめました。私はあまり前編を意識せずに見ていました。
それでも主人公二人の出会いや結びつきは前世からの縁を感じさせましたし、お互いの愛はやはりとても深かったです。
前編では失語症にもなった時宜（シー・イー）は声を使う仕事＝声優になっているし、将軍だった周生辰（ジョウション・チェン）は学者で、そんなところも前編とは違うイメージを意識して人物設定したのかなと思いました。
物語の中心はロマンスだとは思いますが、周生辰の実家のあれこれとの2面で展開していきます。この実家でのあれこれがあっても、二人の愛は順調に深まっていきます。
緊張するような場面もありますがホッと出来るようなシーンもあって、緩急ついて最後まで飽きずに見ました。
登場人物も多めですが、丁寧に描かれているので一人一人の立場や感情が良く伝わってきました。だからこそ怒りも湧くし、しっかり泣けるし、楽しいし、温かさも感じました。
周家の伝統を感じるお屋敷は家の作りや調度品などが興味深かったですし、周家の習慣、行事なども面白く見ました。また海外を含めいくつかの街（都市）を観光気分で見られたのも楽しかったです。
そしてその都度シーンに合った音楽が素晴らしかったです。感情が何倍にも膨らむような素敵な音楽でした。
見終わって、振り返って物語を追いたくなるし、余韻の残る素晴らしい作品でした。
周生辰（ジョウション・チェン）＝任嘉倫（アレン・レン）
時宜（シー・イー）＝白鹿（バイ・ルー）
梅行（メイ・シン）＝此沙（ツーシャー）
周文川（ジョウ・ウンチェン）＝駱明劼（ルオ・ミンジェ）
周文幸（ジョウ・ウェンシン）＝王瑞欣（ワン・ルイシン）
声優の仕事をしている時宜（シー・イー）は吹き替えを担当した映画に登場する主人公・周生辰（ジョウション･チェン）に不思議と愛着を持っていた。
移動途中の空港で偶然に周生辰という名前の男性に会い、思わず声をかける。そしてその男性との連絡先として何とかメールアドレスを手に入れた。
周生辰はドイツ在住の准教授で、内向的な男性。突然現れた時宜に戸惑いながらもメルアドを渡してから半年の間メールでやり取りをしていた。
上海で暮らしている時宜は友人にこの遠距離メール恋愛を笑われ、ずっとプラトニックでいるつもり？とからかわれる。
周生辰が西安にいると知った時宜はチャンスとばかりに彼に会いに行く。西安では彼と共に青龍寺を訪れ、更に彼の研究所を訪ね、彼への理解を深めた。彼に惹かれている時宜は彼の自分への気持ちが気になりながら上海へ帰る。
一方の周生辰は実家のある鎮江に戻る。実家は裕福な資産家で彼は後継者だが一族には煙たがられていた。父親の遺言状により、力を得るには結婚が必要だった。家を守るというプレッシャーを感じながら、急に時宜に会いたくなった周生辰は4時間かけて車で上海へ向かう。
周生辰は友人であり弁護士の梅行（メイ・シン）にも結婚をせかされる。時宜を相手にどうかと言われるが、戸惑いを隠せない。しかし弟が持ってきた時宜に関する調査報告書を見て驚く。「兄さんが空港で彼女と会ってから、家族全員知っているよ」と。
「僕にはすぐに婚約する必要があり、婚約するなら相手は君がいい」
周生辰からのこの唐突な申し出を受け入れた時宜だったが・・。
以下ネタバレあります。（長いです）
後編でも主人公は同じ俳優、アレン・レンとバイ・ルーでした。
アレン・レンの出演作はいままで数作品見たのですが、夢中で見たものが一つもない・・アレン・レンの顔の印象が暗く感じられて、人気の俳優ですがあまり心惹かれませんでした。
でも「美人骨」の前編を見て少しあれ？と今までの感覚と違うものを感じました。とても良かったし、こういう感情を表に出さない静かな役は合うなと思いました。
そして後編・・更に良かったです。イケメンには違いないですが、なんとなく近くにいる、その辺を普通に歩いていそうな人（絶対にいませんが・・）に感じました。そのなんとなくの普通の感じが良かったです。
古装の方がキリっとしたカッコよさなんだと思いますが、私は現代物の彼が好きでした。ベビーフェイスですね。🤭
アレン・レンが演じる今回の周生辰は容貌はともかくちょっとダサい感じもあるけど、恋に奥手で経験ゼロ？あれだけハイスペック男子なのに？
とにかく時宜の前ではたどたどしい感じが可愛かったです。
それでもいきなりかなり積極的な行動にも出て、天才肌の人は違うのか・・その思考とか行動力に驚かされました。というより笑っちゃいました。
長い間メールのやり取りはあったとはいえ、怒涛の展開、婚約を申し出て、あれよあれよと言う間に入籍・・ロマンチックです。これ、胸キュンとは言わないのでしょうが、ある意味胸キュンでした。
時宜には前世の記憶が少しあるようですが、彼には全くないらしい。でも結局は前世からの縁なんでしょうね、その縁を感じさせてくれるシーンが多々ありました。
結ばれて仲睦まじい姿は微笑ましかったし、ホッとしました。前世（前編）では本当に苦しかったですから。
でもただ楽しいだけの恋愛物語ではありません、周生辰の実家でのごたごたに巻き込まれます。
周生辰の実家は大富豪で、彼は長男で跡継ぎです。でも彼は家を継ぐ気は全くない、それでも父親の意思は継ぎたいと思っています。それを実現するためにも結婚が必須でした。
彼の家族関係が複雑なのですが、それは物語が進むにつれて分かってきます・・できればもう少し早めに教えて欲しかった気もしました。これを理解するとそれぞれの思いが深く突き刺さってきます。
周生辰の父と母は駆け落ちした後、息子を授かって幸せに暮らしていました。でも数年後母親が亡くなってしまい、父は息子に周生姓を継がせたいと実家に連れ戻り、言われるがままに再婚します。この新しい母親（継母）が今の女当主です。
しかし結婚前に継母には恋人がいて、その相手は周生辰の父親の弟でした。今家に居る周生辰の弟・周文川と妹・周文幸は継母と叔父の子供です。
父親はその二人の子供も自分の子として育てました。なので子供は実の父を知らないはずですが・・。
この複雑な事情が分かって、あ～そういう事情があったから・・と理解できることも多いのです。後になって家族同士のギクシャクした様子が理解できました。そしてそれぞれが心の中に澱のようなものを抱えているとわかって、人物の見方が少し変わりました。
因みに周生姓は特別なもののようで、長男だけが名乗れる姓らしいです。こんなことも含めて本当に面倒な家なのです。
このような家族と関わりつつも、主人公二人はどんどん愛を育み幸せそうな姿はほっこりしました。嫁いびりとかイジメとかもないし、イライラすることもありません。逆にダラダラべたべたすることもないし、気持ちよく見られる内容でした。
見終わって、いろいろな登場人物が思い浮かびます。私はそういう見方はしていませんでしたが、前編の誰が後編の誰という風に見る方も多いようです。
何よりも主人公二人の幸せはうれしいことなんですが、悲しい事も辛い事もたくさんありました。思い出して涙が溢れちゃうことも。
一人一人を思い出して本当に良いドラマだったなと思いました。
私は周文川が印象に残っています。
家を裏切り酷いことをたくさんして、決して許されないし、出自の秘密を知っても同情の余地はありません。自業自得です。でも、どうしても可哀想と思ってしまうのです。
彼のあの心の渇きや叫びを誰か受け止めてあげられなかったものか・・。愛した人も去って行って誰からも捨てられてしまって涙が出ましたが・・。
「二叔父（実は父親）は僕に甘い」と言いながら、寂しげな表情なのが辛かったです。
邪悪な部分もあって救いようのない人だったけれど、彼だけが悪いんじゃないような気になって可哀想でした。プライドが高すぎたのかな。
そしてこの後編では前編との繋がりを感じさせる所は多々あるのですが
- 時宜は赤い色が好きじゃない（最後に着ていた花嫁衣裳は赤）
- 薄緑色が好き
- 時宜は高所恐怖症（城壁から飛び降りたせい？）
- 蔵書楼
- 鼻筋をなぞる
- 周生辰が時宜をおんぶした事
- 周生姓を捨て家を出ようとしている
最後に二人で「上林賦」を完成させるところなども繋がりを感じさせてくれました。
こういう前編との繋がりをしっかり残して、ファンの興味を煽る所、謎解きではないけれどよく考えられていて、流石のドラマでした。
考えれば考えるほどやっぱりもう一度見ないと・・という思いが強くなりました。
とにもかくにも、今回はハッピーエンドで良かった！
最後まで読んでくださってありがとうございます。
