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中国ドラマ「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-」感想~ハラハラドキドキそして号泣

「風起隴西-SPY of Three Kingdoms-」 風起隴西 2022年 中国中央電視台CCTV-8)  爱奇艺

★★★★★

三国時代末期のの曹魏蜀漢を舞台にしたスパイサスペンスです。諸葛亮が率いる蜀漢が「街亭の戦い」で敗れたところから物語が始まります。

最初から登場人物が多く、名前も関係性も複雑なので難しかったです。見返し必至なので録画もいいかも。でも、3話くらい進むと様子がわかってきてそれからは落ち着いて見られました。

呼び名も複数あるし、スパイの話なので多少の混乱は仕方ないと思われます。見る前に予習も良いと思いますし、相関図を見ながらというのも良いと思います。

とはいえ物語の全体的な流れとして、三国志を知らなくても十分に楽しめる内容となっています。

登場人物が皆同じような格好だし、序盤は何が何だかわからない中で見ていましたが、名前や関係性に慣れてくる中盤辺りから俄然面白くなります。

スパイ物らしく誰もが怪しくハラハラドキドキが止まらない息詰まる展開で、緊張しながら見てたので疲労感も感じました。

物語は二転三転で予想外の展開、ウソでしょ!どうなっちゃうの?という驚きもあり、見ている私も騙されて、そういう点も面白かったです。

24話と中国ドラマでは短めですが、深く重厚で見ごたえのある作品です。最後は本当に切なく泣ける物語でした。

キャストが素晴らしいです。

陳坤(チェン・クン)と白宇(バイ・ユー)の共演ですから見ないといけないですね。(笑)。二人ともカッコいいです!

演技力が確かな二人ですから人物の思いがしっかりと伝わり深みのある作品になっていました。その他素晴らしい俳優が揃っていて豪華で骨太な作品でした。

今時の若手イケメンのキラキラさはないですが、別の輝きが満載でした。

ロマンスはそれほど描かれていませんが、女優陣のほんの僅かな色味がとても良かったです。

参考までに

初心者向け!「風起隴西」鑑賞のススメ|前編:これさえ押さえておけばOK!時代背景&設定|Cinem@rt記事一覧 | アジアをもっと好きになるカルチャーメディア

画像:百度百科

陳恭(ちん・きょう)/思之=陳坤(チェン・クン)
荀詡(じゅん・く)/孝和=白宇(バイ・ユー)
馮膺(ふう・よう)=聶遠(ニエ・ユエン)
黄預(こう・よ)=張暁晨(チャン・シャオチェン)
柳螢(りゅう・えい)=楊穎(アンジェラ・ベイビー)

曹魏(魏)・孫呉(呉)・蜀漢(蜀)が覇権争いを繰り広げていた三国時代の末期。

劉備亡き後、蜀漢を支えていた諸葛亮曹魏を討つため北伐を開始した。蜀漢では諜報機関・司聞曹のスパイ・白帝を曹魏に潜入させ備えていた。

しかし白帝から送られてきた情報は間違っており、それが原因で敗北してしまう。

荀詡(じゅん・く)は諸葛氏に100年余り仕え代々密偵として働いてきた家系に生まれ、司聞曹で働いている。命を受け曹魏に潜り込み誤情報の真相を調べ、裏切り者の白帝を始末する任に当たることになった。この時毒入りの茶を飲まされ、猶予は3ヶ月。

実は白帝の正体は荀詡とは義兄弟でもある陳恭(ちん・きょう)。

一方の陳恭は長く曹魏に潜入し信頼も得ていたが、曹魏諜報機関・間軍司もスパイ白帝を追っている中、陳恭を疑う者もいた。

陳恭は曹魏からも蜀漢からも白帝として命を狙われていた。そんな中荀詡は陳恭と会って裏切りはないと確信したが証拠はない。

陳恭は蜀漢に送った情報が曹魏のスパイ燭龍(しょく・りゅう)によってすり替えられたとみていた。荀詡は陳恭と共に敵のスパイ燭龍の正体を突き止めることにする。

しかし曹魏側には荀詡の潜入がすでに伝わっており、陳恭は蜀漢の情報が筒抜けなことに驚く。

「風起隴西(ふうきろうせい)-SPY of Three Kingdoms-」公式サイト | SPOエンタメ倶楽部

以下ネタバレあります。

中心には陳恭(ちん・きょう)と荀詡(じゅん・く)がいて、この二人の物語と言っても良いかもしれません。二人に次から次へと残酷な出来事が襲ってきます。

とにかくこの二人は頭の回転が良すぎてスパイとしてもダントツ優秀だと思われます。陳恭は荀詡の義弟と言うこともありますが、二人は知己ですね。というより一心同体、それぞれの思いや考えが手に取るようにわかるようです。

でも同じような二人ではなく違う個性を持ち、だからこそハラハラさせられてしまうのです。

陳恭は天才肌のスパイに見えました。でも心には愛があって、それが見えるので切なくなる。愛する人が死んで生きる意味を失い失速、最後は荀詡を助けるため?にも自ら死を選ぶ。どちらかというとスパイには向いていなかった気もします。不憫な人でした。

物語の中には彼の父親の死の真相という要素もあり、彼の心の底の複雑さも見えました。

一方の荀詡は思考を重ねて重ねて答えを出すタイプ。そして純粋すぎる、間違ったことや疑問ををそのままにしておけない。だから暴走しちゃって・・でも冷静に見れば正しい暴走、だから気の毒。でもこの人こそスパイに向いている人だなと思って見ていました。

危険を顧みず淡々と任務を遂行する二人の姿に感服しました。当然ながら私情など1ミリも挟みません、と言いたい所なんですが・・。

画像:百度百科

荀詡が柳螢(りゅう・えい)に出会ったときは、ヤバいと思いました。彼女の美しさには抗えないだろうけど・・でも怪しいでしょ。誰もがそう思うはず。

実は曹魏のスパイ柳螢をアンジェラ・ベイビーってどうなの?って思っていました。この重厚なドラマの中で浮いてしまわない?と。なんだか異質に見えて・・。

でも、ここでは少し派手めで鋭角的なはっきりした美女が良かった。だからアンジェラ・ベイビーに納得しました。全くドラマに埋もれることのない美貌、登場シーンが多いわけではないけれど印象に残った人物です。

荀詡は彼女から贈られた笛を大事にしているし、妓楼にも会いに行っちゃうし、思いは熱い(と想像できる)。でもそんなことでグズグズに崩れる荀詡ではありません。って思いながらもハラハラしてました。

女性ではもう一人、陳恭の妻となった翟悅(てきえつ)がいます。彼女は荀詡の妹でもあります。陳恭も荀詡も彼女をスパイにはしたくなかったようですが、彼女が陳恭を追いかける形で無邪気に望んだ事のようでした。

だからと言ってあの場で夫婦二人が再会するなんて残酷。でもスパイになったからには普通の幸せなんて叶わないのだろうし、でも二人の愛は本物だったので辛かったです。

翟悅は最後までスパイであることを貫き、潔い最後でした。でもかたや陳恭は彼女の死で今までの自分の中に抱えていた矛盾や疑問が浮き彫りになって、自分のあるべき姿を思った時彼の心は「死」に向かって行きました。

陳恭と翟悅は別の世界で幸せになったのかもしれないけれど、本当はこの世で幸せになるべき。愛の塊のような陳恭が愛に生きれなかったこの時代、実に虚しい時代でした。

元を糺せば「漢の復興」という志を持ち、それに向かって一丸となるはずが、次第にそれぞれの思惑から不協和音が生じて亀裂が出来る。妬みや嫉妬で人は変わるから・・歴史とはそういうもの。

やむなくスパイとなり一つの駒として働く人たち、夢も希望も持てない悲哀というか虚しさが伝わる物語でした。

あんなに犠牲を出して漢の復興っていったい何だったのか?誰のための復興だったのか?最後は漢の復興を掲げながら、政敵を倒すことに必死になってた人もいて・・。

それでも、最後は陳恭と荀詡の絆(というと軽すぎるけど)が強く表現されていて涙が止まりませんでした。何もかもお見通しの陳恭の愛は濃厚でした。

何気に荀詡は愛されキャラだったな・・良い部下も多かったし・・。

後味は悪くなかったです。むしろ爽やかささえ感じました。色々な思いが頭を駆け巡る、とにかく傑作なので、多くの人に見ていただきたい中国ドラマです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。