「高潔なあなた」 原題:一片冰心在玉壺(翡翠の壺の中の氷のような清らかな心持ち)
2021年 优酷
★★★★☆
最初から最後まで飽きずに見ましたが、もうちょっとと思うところが多少ありました。
始めはサスペンス調で謎解きなども本格的で面白かったのですが、だんだんスピード感もなくなりストーリーに勢いがなくなってしまいました。
それでも主人公の2人、堅物の展昭(てん・しょう)と怖いものなしの莫研(ばく・けん)のコンビは面白かったし、事件を追う中で育まれる愛が可愛らしかったです。
ロマンスが主の物語だと思いますが、主人公2人は早い段階で恋に落ちるのですが、その後の胸キュンシーンが少なく盛り上がりに欠けました。でも他のカップルの恋があり、そのため楽しく見れたような気がします。
キャストは若手中心ですが、ベテランイケメン俳優も出演していて豪華です。
でも、せっかく男主角が呉希沢(ウー・シーザー)にも関わらずその印象が薄く、ヒロインも華やかさに欠け、ちょっと残念。主人公よりも脇が目立っていたような感じでした。
キャストが良かっただけに、もう少しストーリーに深みが欲しかったです。加えてゴソッとカットしているのかと思えるほど、急な展開もあって気になりました。
ツッコミどころは多々あるものの、構えずに見られる可愛らしい作品でした。
莫研(ばく・けん)=張慧雯(チャン・ホイウェン)
展昭(てん・しょう)=呉希沢(ウー・シーザー)
寧晋(ねい・しん)=牛子藩(ニウ・ズーファン)
趙渝(ちょう・ゆ)=陳芳彤(チェン・ファントン)
蘇酔(そ・すい)=李宏毅(リー・ホンイ)
北宋時代、開封府で審問を待つ大官が殺された。机には文字が残されており、それは「蜀中六悪(殺人・窃盗を行う悪の集団)」を犯人と示唆するものだった。
蜀中六悪の7番目の莫研は投獄された5番目師兄を助けるため開封府に乗り込んだが、墓穴を掘る羽目に。
しかしその事で莫研の非凡な推察力に感心した開封府長官の包拯は、彼女の願いを聞き入れ役人に取り立て展昭の部下にする。
役人になれば自由に捜査が出来ると思っていた莫研だったが、開封府には決まりがありなかなか思うようには動けない。捜査に加わりたくても冷たい展昭は相手にもしてくれない。
そんな中、莫研は事件の重要な証拠である帳簿を探しに地方へ赴く展昭に同行する許しを得る。そして2人で策を講じようやく帳簿を探し当てた。
しかし同じくこの帳簿を狙う一味に襲われ、泳げない展昭を池から救いあげた莫研。このことを境にお互いがお互いを意識し始め・・・。
以下ネタバレあります。
莫研を演じた張慧雯(チャン・ホイウェン)は、チャン・イーモウ監督の映画「妻への家路」でデビューした中国では人気の女優です。
私は表情の豊かな女優さんだなと思いました。申し訳ないけれど、絶世の美女とかアイドル的に可愛いなどの特別感は感じませんが、今回の莫研を演技と表情でとても魅力的に演じてくれました。そして声優さん(配音)の声がとても可愛く好印象、莫研のイメージも出来上がっていきました。
ストーリーでは展昭が莫研を愛おしくって堪らないという感じは出ていたし、胸キュンシーンと言っていいような場面はあったのですが、なぜか気持ちが入りませんでした。
それもあって、サスペンスなのかロマンスなのか武侠物なのか・・なんとなくぼやんと焦点が定まらず勿体ないなと感じました。
ロマンスはたくさん描かれていて、主人公の2人よりも気になったカップルがいます。
いつの間にかそういう関係になっていて、いつの間にか夫婦になっていた2人。この大人の2人のロマンスはもっと深く知りたかったです。
蕭辰は蜀中六悪の2番手で盲目の剣士、殺陣もめちゃくちゃカッコよくて、それ程登場シーンはないものの、存在感抜群でした。
演じたチャオ・ジェンユーはドラマ「大明皇妃」で徐浜を演じていた実力派の俳優です。
趙渝は最初は聞き分けのないわがままな娘でしたが、公主としての責任を果たすため遼へ嫁ぐことに。その遼で蘇酔と知り合います。
蘇酔は蜀中六悪の6番手(六師兄)です。始めは仮面をつけているので素顔がわかりません。公主ならずとも仮面の下の爽やかな素顔を見ればドキンとしますね。私も目が覚めました。(笑)
蘇酔は公主とは身分が違いすぎるので、自分の気持ちは押し殺しているようでしたが、それがわかるので切なかったです。この2人の恋はヤキモキさせられるところも含め楽しめました。
めちゃくちゃイケメンの蘇酔と愛くるしい公主はお似合いでした。
遼の皇子・耶律洪基(やりつ・こうき)は実は思い合う人がいましたが、国のために宋の公主との結婚を受け入れます。お相手の蕭觀音(しょう・かんのん)はそれに反発して・・お国柄か情熱を感じるカップルでした。
寧晋も大活躍だったので、貼って置きます。寧晋は皇帝の弟で莫研を好きになりアタックするんですが、すでに莫研の心には展昭がいたのでかすりもしませんでした。可哀想ですが、こればかりは仕方がない。
いつか良いお相手が・・と思っていましたが、最後まで現れませんでした。その気になれば、よりどりみどりなんでしょうけど。
このようにキャストはめちゃくちゃ魅力的で人物設定も興味深いのですが、ストーリーではあまり一人ひとりの事情が語られていないので感情移入は難しかったです。背景が詳細に描かれていれば深みも出て、感情移入も容易だったかも。
それでも、ドラマの最後はハッピーエンドでオールスターの競演、良かったです。
このドラマの原題「一片氷心在玉壷」は盛唐期の詩人・ 王昌齡(698-755)の詩に由来します。
「芙蓉楼送辛斬=芙蓉楼にて辛斬(しんぜん)を送る」という詩の絶句(最後の句)です。こちらの説明がわかりやすかったです。
簡単に言うと別れの詩です。ドラマでも最後にそれぞれが旅立つ際に皆でこの詩を朗読します。
お別れだけれど私のことは心配しないでね、というような感じですね。旅立つ者も残る者も相手のことを気遣う温かい気持ちが伝わってきました。清々しい旅立ちでした。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。