「御史(オサ)とジョイ」 어사와조이 2021年 tvN
★★★☆☆
若々しく元気のある楽しいドラマという印象です。ただ期待しすぎていたせいか、少しがっかりでした。
ロマンスを絡めて敵討ちも描いていますが、あまりにもコメディでちょっとふざけ過ぎではなかいと感じて物語に入り込めませんでした。結局敵討ちというテーマもぼやけ気味。
史劇というよりコメディと割り切って見たほうが良いかもしれません。それでも、私としてはコメディとしても中途半端感が否めませんでした。
今までの朝鮮時代を描いたドラマとは違い新しさを追求したのかもしれませんが、魅力的な要素はありながらもそれぞれがバラバラでまとまりなく感じました。
はっきりと敵討ちに入るあたりから面白くなってきますが、それまでが長いです。
それでも、登場人物のキャラはそれぞれ特徴もあり生き生きと描かれていて魅力的でした。
あれこれ考えず笑って楽しく見るドラマなんでしょう。肩もこらず、後も引かず・・のドラマなんだと思います。
私としてはなんとなくキャストに引っ張られて見終わったという感じで、物足りなさが残りました。
評価の分かれる作品かと思われます。
ラ・イオン（テギョン）＝科挙を主席合格、暗行御史
キム・ジョイ（キム・ヘユン）＝自由を求め離婚を願い出る
パク・スン（チョン・ボソク）＝領議政
パク・テソ（イ・ジェギュン）＝領議政パク・スンの庶子
エリート官吏のイオンは仕事よりも料理が好きな美食家。出世には興味がなくのらりくらりと仕事をして平穏な毎日を送るつもりが、暗行御史（アメンオサ＝秘密裡に地方官の監察を行う）に選ばれてしまった。
そして赴任先では行方不明になってる前御史の遺体と遭遇し、その扱いを不審に思い捜査を始める。
一方、ジョイは嫁ぎ先で姑にいびらる毎日、夫はギャンブル好きで、先の不幸が目に見えると自ら離婚したいと役所に願い出る。しかし証人になってくれるはずの親友は川で死んでいるのが発見された。
ジョイの抗議も通らず親友の遺体はすぐに火葬されてしまい、葬儀もできなかった。郡守の側室になるはずだったのに・・と泣きながら遺品の整理をしていると中に役所の書類を見つける。
その頃イオンは前御史の死について捜査していた。
イオンは郡守の汚職、殺人幇助明らかにし、更に真相を究明しようとしたが刺客が現れ郡守は矢で射抜かれ死んでしまう。
郡守を射抜いた矢にはトリカブトが塗られていたと報告を受けた。さらにトリカブトは王宮で使われる薬だが悪用すれば最強の毒になるという話を聞いた。
イオンは突然亡くなった世子（王位継承者）を思い出した。世子もトリカブトを薬として服用していたのだ。そこに何か陰謀があったのでは・・。
イオンは世子の死の真相を明らかにするため捜査に乗り出す。
テギョン（2PM）が初挑戦した時代劇「御史とジョイ」を振り返る。スペシャルインタビュー＆グラビア掲載 | NHK出版デジタルマガジン
以下ネタバレあります。
主人公のラ・イオンが美食家で料理上手という設定なので、初めの頃は調理するシーンや美味しそうな料理も出てきましたが、期待したほどそういう場面が続かずちょっとがっかり。
演じたテギョンは明るく元気はイメージですから、深刻なドラマではないと想像できました。イオンの周りの人々も個性的でやり取りもテンポ良く楽しかったです。
イオンはやる気があるのかないのかわからない人だったけれど、時折賢さや正義感が出てカッコよさもありました。
一方ヒロインのジョイは自立心旺盛で、この人もとっても明るい。自分の気持ちに正直に生きたいと思っているし、だからこそ古い考えに縛られたくないと思っています。
朝鮮時代が舞台ですから、本来ならこういう考えが受け入れられるとも思いませんが、それでも口に出してガンガン突き進むところがスゴイです。同じ朝鮮時代に生きる女子なら憧れるかも。
演じたキム・ヘユンは役によって印象が変わるなぁとその演技力に感心しました。
こんなイオンとジョイのロマンスは面白かったし微笑ましかったけれど、なぜかあまり心惹かれなかった。それでもこの二人の身長差を見るとちょっと胸キュン。
そしてこの二人に対してイオンの祖母が意外と理解があって素晴らしかったと思うし、ハッピーエンドで良かったです。
涙こそ出なかったけれど、パク・テソが不憫でした。最後は死なせなくても良かったように思いますが・・。あの父親の手のひら返しを見たかったなと思ったりしました。
私は世子の死の真相を明らかにして敵を討つということが最終的なテーマだと思っていましたがこれは違ったのかも。
世子の真相、敵討ちはあっさりと終わってしまい、その後のイオンとジョイ、周りの人たちの様子が思いのほかしっかりと描かれていました。
最後まで見るとロマンス、友情、親子について描かれたドラマのようでした。そう考えると多少の深みも見えてくるような気がします。
それでも・・
グルメ、女性の自由と自立、階級を超えての恋、敵討ちとしてのサスペンス、親子の関係など面白く魅力的な要素がたくさんありましたが、どれもさっと上辺だけで心に響きませんでした。それがもったいない気がしました。
16話と短いドラマなので仕方ないかなとも思います。
面白くないわけではないですが、私好みではなかったかな。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
