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中国ドラマ「狼殿下」感想〜切なさMAX、ロマンチックが止まらないドラマチック史劇

「狼殿下-Fate of Love-」  狼殿下 2020年 腾讯视频、爱奇艺、优酷

★★★★★+

ドラマチックでロマンチックなドラマでした。今まで見た中国ドラマとは全く別物のような印象。こんなに心を痺れさせてくれる中国ドラマは初めてかも。

なぜそう感じるのか自分でも不思議なのですが、その世界観に1話目からどっぷりと没入してしまいました。台湾の監督、台湾の俳優、台湾の歌手・・台湾テイストの為せる技でしょうか?ロケ地がシャングリラということでもファンタジックなイメージが膨らみます。

登場人物は多いですが、物語は複雑ではないのでわかりやすく、深い内容でもないので肩肘張らず見られます。ラブストーリーだけではなく復讐や権力争いもありながら、ファンタジー的要素も加わって多面的に面白い作品です。

とても魅力的なキャストが揃いました。肖戦(シャオ・ジャン)を目当てにご覧になる方も多いと思います。私は主役の狼仔(ろうし)=渤王(ぼつおう)を演じる王大陸(ダレン・ワン)のメガトン級の魅力にあっという間にやられました。いままでのイケメンとは違い野性味があり力強い表情もこの役にピッタリ。そしてなにより笑顔に撃沈です。

更に音楽が素晴らしいです。OSTの一曲一曲がドラマの雰囲気を盛り上げ、ストーリーの切なさ、ロマンチックさを増幅させます。音楽を聞くだけで胸が苦しくなったし、何度も涙を流しました。このドラマの音楽の力はものすごく大きいです。

ストーリー、キャスト、音楽と3拍子揃い、それらがしっかりと溶け合った素晴らしい作品でした。

画像:doubanio.com

狼仔(ろうし)・渤王(ぼつおう)=王大陸(ダレン・ワン)
馬摘星(ば・てきせい)=李沁(リー・チン)
疾冲(しっちゅう)=肖戦(シャオ・ジャン):11話から
遥姬(ようき)=辛芷蕾(シン・ジーレイ)

煬国(ようこく)奎州城の群主(姫)の馬摘星は山で狼に育てられた狼仔を助け、お互いに心を通わせるようになる。そんな中、ある事件から彼を救うため摘星は心を鬼にして狼仔を突き放した。逃げて谷に落ちた狼仔は生死もわからず行方不明になってしまう。

谷に落ちた狼仔は煬国皇帝に拾われていた。皇帝は自分の駒として利用するため狼仔に訓練を課して育てる。

8年後、摘星に捨てられたと誤解したまま過酷な訓練を耐え抜いた狼仔は皇帝の養子となり、冷徹な第3皇子・渤王として生まれ変わっていた。

一方、馬府が襲撃されただ一人生き残った摘星は城主となり、煬国皇帝の命で渤王との婚姻を賜る。今だに狼仔を忘れられない摘星だったが、狼仔に生き写しの渤王に心が動く。

「狼殿下-Fate of Love-」公式サイト

以下ネタバレあります。(ちょっと長いです)

出だしに摘星が狼仔に気持ちを伝えるために影絵を使うのですが、影絵そのものが幻想的でロマンチックですね。

狼仔は狼に育てられたせいか五感が普通の人間より研ぎ澄まされているようでした。蝶の羽音が聞けたり、風を見たり(読んだり)出来るのです。これがもうものすごくロマンチックでしょ。

影絵の人形や蝶や狼の牙や鈴などのキーアイテムはどれもロマンチック。それにもちろん台詞、キュンキュンしました。

実は狼仔の出自に秘密があってそれが物語の核になったりするのかなと思ったりしたのですが、その予想は完全に外れました。

簡単に言うと摘星と狼仔の悲恋物語です。二人がどうしてこんなに辛い運命を背負わなくてはいけないのかと思うと悲しすぎて見ていて胸が痛かったです。

幸せな日々の後の絶望、楽しい日々の後の憎しみ、胸キュンしながら見ていると急に反転する展開が続きます。

無邪気にじゃれ合う二人の姿、狼仔の屈託のない笑顔が記憶に残っているからこそ、渤王(ぼつおう)になってからの物語が辛すぎました。

渤王にされてしまったことが悲劇の始まりです。


画像:百度百科

命を救われた恩はあるけれど、 渤王(ぼつおう)として多くのしがらみを植え付けてしまった煬国皇帝が恨めしかった。本当に残酷な人です。

物語はこの二人の恋を中心に展開していきますが、さらに二人が関わって感情がもつれ合いこれまた切ない。

画像:百度百科

疾冲も遥姬も辛い恋でした。私達から見てもどうにもならない恋。そしてその事は二人もわかっていて、それでも気持ちは止められないんですよね。

遥姬も冷たい表情が多いけれど渤王の前では女の顔になっていたり、疾冲は摘星の愛を感じられずに寂しい目をしたり(シャオ・ジャンが上手すぎて)・・もう、本当に切ない場面がてんこ盛りです。今思い出しても涙が・・。

摘星が心から疾冲を愛することが出来たら良かったけれど、なんやかんやあっても摘星と渤王の心の結びつきは深く強いものでした。

ただ、渤王と摘星のそれぞれの立場が二人の愛を許さない。渤王は自分は道具だったと後悔もしているのだから、何もかも捨てて二人で山に逃げれば良かったのに。

摘星を愛するがゆえに敢えて敵同士になり、仇討ちという本懐を遂げさせるために冷酷になりきっても、裏では常に彼女のことを気にかけてしまう渤王を見るのが辛すぎました。

 

とにかく皆演技が上手いのでそれぞれの愛が痛いほど伝わってくるし、その思いを受けとめれば感情移入して同じ苦しさを味わってしまう。そんなことの連続でした。毎回見終わった後も余韻のせいでいろいろ考えてしまいました。

今更ですが、肖戦(シャオ・ジャン)の人気も納得しました。ルックスだけでなく演技派なのですね。最初はやさぐれた感じで似合わない気もしましたが、柔らかく可愛い表情も魅力的だし、男らしい頼もしさも感じる演技でした。役のたびにイメージが違うのも流石だなと思います。

私は王大陸(ダレン・ワン)に撃沈してしまいました。ちょっとセクシーで包容力も感じられ、何でこんなにドキドキさせられるんだろうと考えてみたけれど・・目線とか距離間とか笑顔とか?

彼が演じた渤王は硬い表情が多いのですが、時折ふと純朴な狼仔の表情になるんです、反則的に。そんな時は胸がキュンとなっちゃうんですが、メイクを変えているわけではないだろうし、すごく不思議でした。力を抜くとああいう表情になるのかしら?

とにかくカッコいい、最後ボロボロになってもカッコよかったです!(渤王に嵌ったと言うべきか・・)

 

そしてこのドラマは音楽(OST)が素晴らしいです。主人公の気持ちが伝わってくるだけでなく、ドラマの世界観が目の前に広がります。今までの中国歴史ドラマとは全く違う曲調ですね。

オープニング、エンディング曲を歌っているのは台湾の歌姫、蔡依林(ジョリン・ツァイ)です。2000年初頭はアイドル的に人気が高く、飛ぶ鳥落とす勢いでした。懐かしく思い出しました。

ロマンチック感はこのオープニング曲「我是誰」からかもしれません。ラップもすごくカッコいいです。後半ではこの曲を聞くたび涙してました。一緒に流れる映像とすごく合っています。

そしてもう一人、台湾の歌手・小宇(宋念宇)もOSTに名前を見つけ懐かしかったです。シンガーソングライターでビビアン・スー飛輪海など人気歌手に楽曲を提供していました。このドラマのエンディング曲「倒流」は彼の作曲です。 

OSTでは小宇の歌った「天狼星」が大好き。

 

全ての曲を楽しみたい方はこちらはいかがでしょう?

The Wolf 狼殿下 Full OST 電視原聲 歌曲合集(我是誰,never,倒流,對立面,石頭,再一天,天狼星,配樂) - YouTube

 

画像:百度百科

私は来世などは信じていないけれど、それでも狼仔と摘星には来世で幸せにと願わずにはいられませんでした。

これでもか!という悲恋物語でしたが、二人の愛の強さは清々しい。

何度も泣かされたドラマですが、最後は疾冲や遥姬には希望も見えて後味は爽やかで気持ちが良かったです。

画像:mt.sohu.com

ダレン・ワン(王大陸/王大陆) 1991年5月29日 台湾 181cm

映画にもドラマにもCMにもMVにもたくさん出演しているのですが、驚いたことにダレン・ワンのデビュー作は2008年の「霹雳MIT(イケメン探偵倶楽部MIT)」、このドラマは飛輪海・アーロン(炎亞綸)主演のアイドルドラマです。

当時見ていたけれど、ダレン・ワンには気づかなかった。13話に特別出演しているらしいです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。