ふくみみdiary

  日常のあれこれのほか、読書記録、ドラマ(韓国・中国)感想記録を残してます。

中国ドラマ「古相思曲」感想 〜コンパクトでも秀逸なタイムスリップロマンス

「古相思曲~君想う、千年の調べ~」 古相思曲 2023年 哔哩哔哩

★★★★☆

過去にタイムスリップするファンタジーロマンス。私が見たのは8話バージョン、あっという間に見終わりました。意外性もあって面白かったです。

個人的評価は★4にしていますが、4.5くらいの気持ちです。

中国ドラマというと40話〜70話くらいありますので、コンパクトさに驚きました。登場人物も最低限です。それでも物足りなさは感じなかったし、雑とも感じませんでした。思い切った試み、挑戦として素晴らしいと思いました。

気まぐれな時間移動に戸惑いながらも、未来を変えようと懸命になる主人公。その中で生まれる恋心に、風習や美しい音楽を絡めた美しく切ない物語でした。

物語自体はよく考えられていて面白かったし、キャストも魅力的だったので、この話数では無理とはわかりながらも、もう少し丁寧な人物描写があればもっと感情移入もできただろうと思うと少し残念でした。

見ていて歌舞伎十八番のように感じました。タイムスリップするたびにクライマックスだけを見るようでそれなりに楽しめたのですが、最初はよく理解できずにわからないまま進んでしまうこともありました。

でも最後まで見終わってからもう一度1話に戻ると、なぜだかわからなかった部分がスルスルと溶けてストンと胸に落ち、切なさも迫ってきて、特別な味わいのある作品だなと思いました。

だた、普通に一度見ただけの時のわかりにくさは否めないです。ミステリー小説の叙述トリックではないですが、このわかりにくさは視聴者への挑戦なのかな?と思ったりもしました。

キャストは初めての俳優さんばかりでしたが、それぞれ役に合っていましたし魅力的でした。いつものことですが中国の俳優の層の厚さを感じました。

アクションも見応えがあり、音楽も良かったし、細かいところに工夫もあって全体的に眺めれば、コンパクトながら良く練り上げられた秀作でした。

画像:百度百科:

陸鳶(りく・えん)=張雅欽(ジャン・ヤーチン)
沈不言(しん・ふげん)=郭迦南(グオ・ジアナン)
倚華(い・か)=朱林雨(ジュー・リンユー)
陸時(りく・じ)=全伊倫(チュエン・イールン)
李擁(り・よう)=荘翰(ジュアン・ハン)

沈不言(しん・ふげん)は夢を見ている。「妖后、妖后」と罵る群衆、見上げると城楼に一人の見知らぬ女性がいる。しかし彼は彼女とは特別な関係があるように感じた。女性は不言を見つけると城楼から身を投げ、そして玉佩は5つに割れた。

沈不言は九国時代を研究する人気の歴史作家。妖后・陸鳶(りく・えん)を題材にした著作の出版イベントに出席した際、露店で割れた玉佩を見つけ、何故か気になり手に入れた。

翌日編集長から著作の続編を依頼される。史実に沿って書くことを大切にしている不言は史料が不完全でこれ以上は書けない。頭を抱えていると玉佩の上に鼻血が落ちて・・すると目の前の景色が変わり、なんと1000年前の皇宮にタイムスリップしていた。

不審者として追われ逃げ込んだ部屋に倚華(い・か)と名乗る女性が現れ、「お嬢様が長らく待っていた。迎えに来た」と話す。

不言を待っていたのは妖后・陸鳶で、3つの要求に応じれば、3つの質問に答えると言う。これで続編に着手できると喜ぶが、陸鳶の要求は変わったものだった。

ちょうどその頃、丞相の李擁(り・よう)は国の防衛図を盗み出し敵国に渡し逃げようとしていた。

この日は「元啓の変」が起こった日だったのだ。史実とは違う光景に唖然としながらも、不言は李擁を諭そうとするが、李擁は不言を殺そうと矢を放った。そして不言を庇った陸鳶が命を落とす、「あなたとはまた会える」と言い残して・・。

その瞬間、不言は現代に戻っていた。

「古相思曲~君想う、千年の調べ~」BS12  

以下ネタバレあります。

タイムスリップものもたくさんありますが、今回は何度も過去にタイムスリップします。更に、一度目より二度目、二度目より三度目とだんだん時間を遡るタイムスリップというのがポイント。

そして時空のいたずらか?タイムスリップしても突然勝手に戻されてしまう。これが厄介です。

最初のタイムスリップした時の展開は不思議なことやわからないことがあって、ミステリーの謎かけのようで困惑しました。

陸鳶(りく・えん)の沈不言(しん・ふげん)に対する3つの要求=古装に着替えること、一緒に食事をすること、上巳節に街を一緒に歩くこと。

これも最初は突然何?って思ってしまいますね。でも最終話まで見て、もう一度1話2話を見ると納得できるし、このトリック?というか仕掛けがなかなかニクイです。

二度目の視聴では倚華(い・か)の髪につけた白い花の意味も陸鳶の涙の理由もわかって辛かった・・初見のときとは全く違った感情が込み上げてきます。これがこのドラマの醍醐味なんだと思います。

陸鳶はこれまでの人生の中で不言と何度も会っています。一緒に過ごした時のことを鮮明に覚えているはず。しかし不言はピンポイントにタイムスリップして、しかも毎回前回より若い陸鳶に会うのです。彼には彼女との過去の日々の記憶はないのですね?

未来を知っている不言はなんとかして陸鳶の悲劇の運命を変えたいと考えますが、結果は変わりませんでした。歴史は歴史として変わらず残りました。

二人の気持ちを思うと切ないし悲しいし辛くなります。このドラマでは一人は未来へ進み、一人は過去へ逆走する、接点があるようで実はつながることが出来ない二人でした。

ファンタジーでありながら何でもありでもないし、パステルカラー調のファンタジーでないところも好感が持てました。

物語が進むに連れて次第に人物の過去や背景がみえてきて、へぇ〜と思ったりこんな事がとびっくりしたりしました。それにしても奴婢だった陸鳶が皇后になるなんて、そして剣の腕もたつなんて、波乱万丈の人生でしたね。いったいどういう流れで?と思ってしまいますが、それは余計なことなんでしょう。

それを知ったところで彼女の歴史(運命)は変わらないのです。

画像:百度百科

主人公二人だけでなく、倚華(い・か)と陸時(りく・じ)のロマンスも切なかった。この二人は同じ時を生きる中で愛を育んでいるのでわかりやすかったです。清らかで爽やかなカップルだったので、幸せになって欲しかった。結果は本当に残酷で辛いものでした。

 

不言自身は陸鳶の運命を変えることが出来なかったし、二人の愛が成就することもなかった。

不言にとっては初めての出会いが最後の日、陸鳶にとってはもう一度不言に会いたいという願いが叶ったその日が人生最後の日でした。このどうしようもないすれ違いが悲しすぎます。でもとてもロマンチックです。

でも、その後九国時代の古墓が発見されると、不言は陸鳶の汚名をそそぐ詔書がみつかった事を改訂版に記し、これからも史実研究に力を注ぐと決心を新たにしました。

今では彼が陸鳶の真の姿を知っている唯一の人と考えると、二人はずっと繋がっているということになるのかなと思いました。愛は二人だけが知っている二人のものだし・・。

 

話数の短さに、どうなのかなぁと思いましたが上手くまとまった良い作品でした。良く練られた内容で感心したし、心が揺さぶられましたし、意外と余韻の残る深く濃い作品で素晴らしかったです。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。