多少ネタバレあります。
237.禁忌の子 山口未桜
【救急科の医師・武田航は、ある日心配停止状態で運ばれてきた身元不明の男性がクローンかと思われるほど自分に瓜二つであることに驚愕する。
男性は溺死と見られたが何故死んだのか?事件か事故かも分からない。
武田は自分の手を離れてもその男性のことがどうにも気になって仕方がない。問題事を何でも解決してくれると評判の同じ病院の消化器内科の医師・城崎響介に相談することにした。
その溺死の男性と武田航との間には隠された秘密があると考えた城崎は、武田に自身の戸籍と更に母子手帳を確認することを提案する。
調べを進める中でようやく鍵となる人物・生島京子に行き着くが、彼女も密室で謎の死をとげて・・】
医療ミステリーです。導入部分から面白く惹きつけられました。ツカミは最高でしたが、もう少しスピード感が欲しいと感じた部分もありました。
それでも最後まで飽きずに一気でした。物語の組み立ても謎ときにも丁寧さを感じました。
専門的な内容も多いわりに、わかりにくさはなかったです。
物語が進むほどに事実が複雑に絡み合い内容がどんどん重くなりますが、時折出てくる関西弁のおかげか?あまり重苦しさは感じませんでした。
探偵役の城崎の推理には矛盾が無く整然としています。ただ彼の欠点というか特別な性格ゆえか?人間味が感じられず、特別魅力は感じませんでした。温かさもあるようでしたが・・。
物語の中には著者が現役医師であることも存分に生かされていて、医療現場のシーンは迫力も臨場感もあって、ピリッとしたスパイスになっていたと思います。
思いがけない犯人、そして結末。読み始めたときにはこんな事になるとは思いませんでした。
ただ倫理面の問題もあり、最後はこれで良かったのかな?とやはり疑問を持ちました。ミステリーとしては面白かったのですが、面白いと言って良いのかどうか・・。
生き抜くという覚悟は見えたものの、私は彼らがこの先一生抱える秘密の重さを思うと恐怖も感じました。

238.父からの手紙 小杉健治
【父が家族を捨て家を飛び出してから10年が経った。その間麻美子と弟の伸吾の誕生日には父からの手紙が届いた。反発しながらもその手紙から愛情も感じられ、麻美子はずっと保管している。
その麻美子は高樹との結婚が決まったが、弟の伸吾は猛反対している。高樹には愛人がいるからだ。そのことを知りながらも麻美子は恩人家族を救うために高樹との結婚を望んでいた。
しかしその高樹が死体で発見されると弟が容疑者として逮捕され・・】
ミステリー仕立ての物語で興味のわく出だしでした。
物語は麻美子と殺人を犯して出所してきた圭一の二人の視点で展開します。
二人交互に物語が展開され、それがわかりにくく始めは混乱しました。そして真実を探る中でなにかに基づいた推理というのではなく、頭の中に浮かぶ憶測で話が進んでいき、何度も同じような内容の繰り返しで疲れました。
明るいところは一つもなくずっと暗い・・人物それぞれが複雑な事情を抱えて、複雑な関係を結んでいます。少し複雑さがくどいような気がしました。
麻美子も圭一も落ち着くところに落ち着くのですが、これもどうなの?と思ったし、それぞれが出した結論(行動)が納得いかず感情移入はできませんでした。
なので私は涙もでなかったです。
239.キュレーターの殺人 M・W・クレイヴン
【切断された人間の指が謎の暗号?#BSC6とともに次々に発見された。刑事のポー達の懸命な捜査の結果、実行犯にたどり着いたものの、背後に隠れる悪の存在が浮かび上がる】
ワシントン・ポーのシリーズ第3弾。
相変わらず面白かったです。面白すぎて一気読みでした。
ポー刑事が気づくほんの些細なことが鍵になって明らかになっていく真実、読みながら私も目の前がぱぁっと開けるような感覚になりとても気持ちが良かったです。
時々暴走するポーですが、その洞察力は見事です。
スピーディな展開に意外な犯人、思いも寄らない結末。上質なミステリーだと思います。
何作目から読んでも楽しめると思いますが、ポーの出生の秘密はずっと続いているので、やはり1作目から読んだほうがわかりやすいでしょう。
最後まで読んでくださってありがとうございます。