月単位で分けるのではなく、だいたい5冊くらい読み終わったタイミングで軽く感想を書こうと思います。
今までの読書感想を読み返してみると、かなり独りよがりで分かりづらい内容でした。気をつけようと思ってます。
【149〜154】
ネタバレあります。
149.イニシエーション・ラブ 乾くるみ
ミステリー好きの本紹介では良く名前の上がる作品です。映画化もされているようですが、何も予習のない状態で読んで正解でした。面白かったしガツンとやられました。
『あまり気乗りがしない合コンに参加した大学生・鈴木は歯科助手をしている繭子に一目惚れする。奥手な鈴木だったが、その後繭子と再会し電話番号をもらった。勇気をだして電話してみると繭子も自分に好意を持ってくれていたことに力を得る。タックン、マユちゃんと呼びあう二人の交際がスタートした』
ミステリーと思って読み始めたので、誰も殺されないし、謎があるわけでもなく、あれ〜?と思いながら読んでました。
ごく普通の恋愛小説(性的描写もあり)のようでしたが、終わりに近づけば近づくほど何かおかしいと思い、最後の最後で作者の仕掛けに気づく。
はぁ〜・・誤解してましたというか、騙されました。こんなどんでん返し?初めて、脱帽です。
なんとくの嫌な感じはありました。そんな微妙な違和感を言葉や行間に残す辺りは流石だなぁと思いました。ストレートなミステリーよりひたひたと浅ましさが染み込んでくるような物語でした。
ジメッとした視線が絡みつくようで、怖かったです。
少し過激な性描写があるので苦手な人もいるかも知れないです。
150.震雷の人 千葉ともこ
中国唐時代、安碌山の反乱期の大河ドラマ風な歴史物語。仲の良い3人の若者のそれぞれの戦い方、生き方を描いています。
登場人物に魅力を感じられず、入り込めませんでした。それでも後半に入って婚約者の敵討ちの様相を呈してからはスピード感も迫力も出て面白く読めました。
151.優等生サバイバル〜青春を生き抜く13の法則 ファン・ヨンミ 課題図書
『名門進学高校に首席で合格したジュノ。成績だけでランクをつけられることに抵抗を感じつつも、上位から滑り落ちることへの不安と焦りを感じていた。仲間や先輩たちと関わる中でジュノは自分のこれから先を模索する』
学歴社会の韓国ですから、大学受験は命がけ。韓国の高校生が抱える重すぎるプレッシャーがヒシヒシと伝わってきます。
優等生には優等生ならではのもがきや恐れがあります、ジュノにもありました。
それでもジュノの周りには素晴らしい仲間がいて、特に自由な考えと自分自身をしっかりと見つめるユビンが印象に残りました。「自分に似合わない生活は夢見ないようにしている。今の自分をただ気に入っている」という彼女の言葉が突き刺さりました。
他にもたくさんの素敵な言葉が散りばめられている作品です。
ジュノと彼を取り巻く人々が生き生きと描かれ、そしてほのかにロマンスも入って、青春真っ只中のキラキラした彼らを眩しく感じました。
すんなりと心に入ってくる文章、癒やしや勇気をくれる素敵な物語でした。

152.葉桜の季節に君を想うということ 歌野晶午
こちらもミステリーファンからおすすめ作品と紹介されていたものです。
元探偵がある女性から調査を頼まれ悪質商法グループを探るというストーリー。ミステリーと言うよりはハードボイルドのような作品でした。
現在と過去が行き来するので時系列が複雑で少し読みにくかったこと、主人公が好きになれなかったことがありながらも、最後までサクサク読めました。
ストーリーとしては面白いと思いますが、読後感は良いものではありませんでした。
読み手を騙すということでは成功しているとは思いますが、無理やりのような気もして少し「な〜んだ」という感じ。特に最後は主人公の気持ちが理解できず、呆気に取られました。
ただすっかり種明かしが済んだ後で騙されポイントを探しながら再度読むのも楽しいのかもしれません。
「桜」ではなく「葉桜」とはよく言ったなぁと思います。
153.ノクツドウライオウ(靴の往来堂) 佐藤まどか 課題図書
『100年近く続くオーダーメイドシューズの店、往来堂。ここの孫娘に当たるナツキはすべての工程を手作業で行う靴職人の祖父を敬愛している。後継ぎと思われていた兄が突然いなくなり、職人が祖父一人になってしまった店は大丈夫?ナツキも靴は好きだが、自分が後を継ぐべきなんだろうかと悩む日々』
中学生のナツキの目を通して老舗の靴店や家族の日常を描いた、清々しく力強い物語でした。
ナツキは往来堂の伝統を大切に思いながらも、可愛くキレイな靴のデザイナーになりたいという夢があります。
お店の将来を考えると、時代遅れの製造方法ではなく新しい技術を取り入れて、たくさんの靴を作れるようにしたら良いのではと考えていました。
それでも祖父の仕事のやり方、お客様との関わり方をそばで見ていて、本物の靴の力を知ります。
そして段々と気持ちが整理され自分が進む方向も定まっていく、その様子が可愛らしく生き生きとして力強さも感じました。
同級生の嫌な奴・宗太との関わりも良い展開につながって面白さを深めていたと思います。
お兄ちゃんのその後が気になりましたが、最後の挿絵でちょっと安心出来ました。
課題図書としては感想も書きやすいのではと感じました。
154.ラーゲリより愛を込めて 辺見じゅん原作 林民夫:映画脚本 前川奈緒:ノベライズ
辺見じゅん著「収容所(ラーゲリ)からきた遺書」というノンフィクションのノベライズ版。
シベリア強制収容所に捕虜として抑留された山本幡男一等兵の壮絶な抑留生活を描いたもの。このノベライズの中で実在したのは山本一等兵、そして犬のクロだけだそうですが、登場人物それぞれが魅力的に描かれていて心理描写も繊細でした。
戦争が終わってもこんなに悲惨で残酷な事実が続いていたということがやりきれないです。あってはならない事です。
穏やかだけれど強い精神力で希望を持ち続けた山本さんは、極限状態の周りの捕虜たちにとっては一筋の光だったと思います。
最後、家族に届いた遺書のくだりは涙なくして読めませんでした。立派な人でした。
最後まで読んでくださってありがとうございます。