私自身の覚えくらいの感想をと思いながら、長くなってしまいました。
【132〜137】
ネタバレあります。
132.おもかげ 浅田次郎
『定年を迎え送別会の帰りに地下鉄で倒れた正一は集中治療室に運び込まれる。意識の戻らない中、彼の心は体を離れて不思議な体験をする。そして自分も知らなかった過去を知ることになり・・』
物語の中に「死後の魂は人生のうちで最も幸福だった頃の肉体を再び獲得する」という一文がありました。本当にそうなら、自分のそれはいつだろうと考えました。考えているうちに死後の世界も悪くないなと思えました。
一つ一つのエピソードは退屈なわけでも無いのですが、思っていたほどの感動もなかったし泣けなかったです。
133.なれのはて 加藤シゲアキ
『テレビ局で働く守谷は同僚の吾妻から祖母の遺品である一枚の絵で展覧会を企画したいと提案される。しかし絵の作者の所在も権利を持つ人もわからない。二人は絵に残されたサインを頼りに謎の画家を探すため秋田へ。そしてある一族の秘密に踏み込んで・・』
ある番組で鈴木保奈美さんが一気読みしたとおっしゃっていた作品。
一気・・すごくよくわかります。展開が早く次から次へと新しい真実が出てきて先が気になり、本を閉じるタイミングが難しかったです。
ミステリーとしてとても面白く、登場人物の人間関係を見れば愛憎劇でもあり横溝正史の世界も頭をよぎりました。登場人物が多いので時々「あれ、この人は?」となるので、人物相関図を作ってました。
愛や業や執着を描いていますが、あまり深みは感じませんでした。どちらかと言うとエンタテイメントとしてとても面白かった。最後は泣けました。
秋田弁も世界観を膨らませてくれましたし、一気読みの作品でした。
134.自転車泥棒 呉明益
主人公が20年前に失踪した父親とともに消えてしまった自転車を探す物語。
自転車を探す中で巡り合う人々、そして知る歴史。時代も台湾日本統治下から現代まで、そして舞台は台北だけでなく東南アジアに及び壮大な物語です。
戦争の話は辛かったけれど、人間だけでなく動物も悲惨だった事実が本当に悲しかったです。
全体的に哲学的でもありかなり骨太の作品だと思いながらも、ファンタジーのようなふわっとした感覚が不思議でした。独特の世界観です。
でも理解しきれない部分もあり、私には難しかったなという印象。二度三度と読めばわかるかな?

135.イノセント・デイズ 早見和真
放火殺人で死刑が確定した「整形シンデレラ」と呼ばれた田中幸乃の生い立ちから死刑執行までの物語。
読んでいて気分が塞ぐような内容でしたが、途中で読むのをやめようとは思いませんでした。特に後半はミステリーとしてスピード感も増して面白かったです。
読み進めていくうちに違和感が増えていったし、幸乃を好きにはなれませんでした。
幸乃がどうしてこうなってしまったのか、私にはこの人が精神的に幼く子供っぽく見えました。周りに流されるというよりすり寄っているような・・不快で少し怒りも湧いてきました。
傍から見て悲惨で残酷な人生だったけれど、いくらでも別の道を行くことも出来たでしょう。彼女にずっと寄り添い見守る人がいたら良かったのか?いったいどうしたら良かったんでしょう。
私には理解出来なかったけれど、最後彼女の心は救われたんですね?でも自分は消えて終わりでも、周りの人のことは考えない自分勝手な都合=独りよがりのような気がしました。
それは彼女だけではない・・登場するすべての人が独りよがりに見えました。
死刑の是非、報道のあり方、警察の捜査、冤罪、親と子の関係性などいろいろ考えさせられました。すごく重くて読み終わってから自分の気持ちを立て直すのに苦労しました。
読後感を表す適切な言葉が見つかりません。幸乃は陽炎のような人でした。
136.マリオネットの罠 赤川次郎
とっても凄惨でグロテスクな内容なんですが、それほど重く感じないのが不思議です。ストーリー展開も早くて面白かったです。
最後のどんでん返し・・ビックリ。😄
137.猫鳴り 沼田まほかる
『信枝は長いこと待ち望みやっと授かった子どもを流産してしまう。庭で瀕死の仔猫を見つけ何度も捨てに行くがまた戻ってきてしまい、とうとう飼うことにした。しかしその猫を見に来る少女がいて・・』
あまり気持ちよく読めませんでした。ようやく3章に入ってから死に向かう猫と飼い主の描写がリアルで身につまされたし悲しいし涙も・・。
人が隠している心理みたいなものをグイグイ表面に噴出させているような内容で、薄い本なのに内容は濃くガツンとくる作品でした。
最後まで読んでくださってありがとうございます。