ふくみみdiary

  日常のあれこれのほか、読書記録、ドラマ(韓国・中国)感想記録を残してます。

読書「フォンターネ 山小屋の生活 パオロ・コニェッティ」他:2025年1月①

【126〜131】

126.セゾンサンカンシオン 前川ほまれ

看護師でもある作家の依存症をテーマにした小説。アルコール、ギャンブル、薬、万引きなどの依存症の中でもがきながら生きる人達の話でした。

かなりリアルに描かれていて、当事者の苦しみも良くわかりました。そして依存症が病気であると理解した上でも、家族やそばにいる人の苦しみも相当なものですね。

依存症になってしまったきっかけもよくある事のように思ったし、誰にでも可能性があると思うと恐ろしかったです。どうしたら食い止められるのか・・そうなってしまった理由は人それぞれで一括りにして考えられない難しさも感じました。

題名から受けるイメージとはかけ離れた暗くて重い内容でした。ただ文章は優しく愛も感じられて読みやすかったです。

127.慈雨 柚月裕子

『定年退職をした元警察官が妻とともに四国お遍路の旅に出る。しかし旅の最中に知った幼女殺害事件はかつて自分が担当した事件に酷似しており胸騒ぎを覚える。過去の後悔は今でも彼の心の奥底に澱んでいた。人生の後悔に向き合い事件の真相を追うミステリー』

お遍路さんとしてのストーリーも多く含まれていて興味深かったこともあり、さほどミステリーとは感じませんでした。

主人公と絡む登場人物もそれぞれ魅力的で、一つ一つのエピソードもしっかりと噛み合って最後まで飽きずに読みました。

ミステリーと言うよりも、人間の心理を深く読み解く人間ドラマのような内容でした。主人公の奥さんに癒やされました。

128.白鳥とコウモリ 東野圭吾

人権派弁護士が殺された事件。この弁護士に相談を持ちかけていた倉木という男が容疑者として浮上する。倉木が遠くからわざわざ通う居酒屋を調べると、この店はかつて金融業者殺害の罪で逮捕されその後自殺した男の家族が経営しているということがわかる。この過去の事件と倉木の関係が判明し追求すると、倉木は弁護士殺害と金融業者殺害を自供するが・・』

過去の事件と複雑に絡み合ったミステリーでとても面白かったです。かなりの長編ではありますが、中だるみすることもなく読み終えました。

ストーリーはゆっくりと進むのでわかりやすかったです。家族の絆の強さも感じる内容ですが、やはり倉木という人の考えには納得いかずあまり現実味を感じられませんでした。

罪に対する罰とは何か、時効の重みなど考えさせられることも多かったです。

129.まいまいつぶろ 村木嵐

『第八代将軍吉宗の嫡男には障害があり誰にも言葉が通じず、孤独に育ちまいまいつぶろ(カタツムリ)と陰口を叩かれていた。しかしただ一人彼の言葉を理解する者が現れる。その後第九代将軍となる徳川家重と側近大岡忠光の物語』

すぐに本題に入る書き出しですんなりと物語に入り込めました。

跡継ぎ問題もありながら、家重と忠光の絆を中心に描きさわやかで清々しい印象の作品です。

家重の聡明さと人を思いやる優しい心が印象的でした。忠光が実直で野心などまったくない人であったことは奇跡のような気がします。

二人の最後の別れの場面は泣けました。

それにしても吉宗の度量の大きさと言うか器の大きさは大したものだと改めて思いました。

130.夜のピクニック 恩田陸

夜を徹して80キロを歩く伝統行事の歩行祭。高校3年生が修学旅行の代わりとなる歩行祭に挑み、ただ歩く中で仲間との絆を深め、あるいはお互いの距離を克服していくという物語。

爽やかな青春物語ではありますが、人物設定が驚きでした。高校3年生で同じクラスになる異母きょうだい。気まずいし居心地悪いし、お互いにものすごく意識しあっているにもかかわらず知らぬ顔をし続けてきた二人。

二人の心の中が丁寧に描かれているので、葛藤も後ろめたさも怖さも開き直りもよくわかりました。だからこそわだかまりが溶けてホッとしたし、瑞々しい青春物語になりました。

大きな事件が起こるわけではないけれど、慰め合い励まし合い並んで歩く仲間とのやり取りもリアルで若々しさが溢れていました。

この先も物語はずっと未来まで続いていくようで明るい未来も予想させる清々しい最後でした。

高校生がこの本を読んだら、どんなだろう。

131.フォンターネ 山小屋の生活 パオロ・コニェッティ 訳:関口英子

スマホを捨てよ、山へでよう・・30歳で都会の生活に疲れた作家がアルプス山脈にある山小屋にこもり、自分を取り戻す日々の記録』

誰もが憧れるような生活だろうと思います。山に入って五感が研ぎ澄ませていく様子や野生動物とのふれあい、自然の壮大さや恐ろしさなど興味深い内容が満載でした。

「自分の気持ちを表現するのに新しい語彙が必要」という理由で本を読む隣人?のエピソードが印象的でした。言葉を探すため、感情を表現するための言葉を勉強するための読書、素晴らしいなと思いました。

「更に一人になりたくて山で暮らすことにしたのに、一緒に過ごす相手をいつも探していた」という言葉にも温かさを感じました。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。