今週のお題「好きな小説」
学生の頃から読書は好きでした。中学生、高校生では推理小説が好きで、どんでん返しやらトリックやらにワクワクしていました。お決まりですが、江戸川乱歩、松本清張、アガサ・クリスティー、アーサー・コナン・ドイル・・。
アガサ・クリスティーの作品の中ではポワロのシリーズが大好きです。あんなに個性的でチャーミングな探偵を作り出し、作家本人も書いていても楽しかったんじゃないかなと想像します。
今でもミステリーは好きですが、最近の作品は背筋が寒くなるような不気味な人物やものすごく邪悪な人物などが登場する作品もあって、そういうものはなんだか受け付けられなくなってきています。
作品から出てくる感情を押しのけられず、ただただ恐ろしくて後味が悪かったり。以前のようにミステリーを選べなくなってきました。
作品から溢れる感情といえば・・。
大学生になってからは遠藤周作が好きでしたが、石川達三もよく読みました。
石川達三は初代芥川賞受賞作家ですが、今はあまり注目されないのかな?時代が変わって消えてしまったのかな。小説は永遠と思っていたけれど、そうでもないのかもしれません。
一作一作の作品のあらすじはもうほとんど覚えていないのですが、かなり衝撃を受けた作家です。どの作品もぐいぐい引き込まれる内容で、人間の汚い所とか業とかドロドロな感情、恐れとか人間そのものがリアルに描かれていました。ダメ人間が多く登場してます。
その時自分は人間の持つ底知れぬパワーとかその逆の脆さ、弱さみたいなものを感じていたように思います。同じ人間である私の中にも彼が描くような感情があるのだろうし、それが少し怖かった、そしてこんな風になっちゃダメだという気持ちが湧いていた・・。
石川達三のおすすめ代表作5選!初代芥川賞受賞の作家 | ホンシェルジュ
考えの浅い私は本棚の本はすでに処分してしまって、今では本当に馬鹿な事をしたと思います。残していればまた読む機会もあったと思うし、今読めば若い頃に受けた衝撃とは違う何かを得られただろうと思うから。
本も読みたいという欲求はあるものの、もう字を追うことがシンドイので今はオーディブル。し~んと静まり返ったスタンドだけの光の中で本を読むというのは今は憧れになりました。
今回は「好きな小説」というお題ですから、人生の中で印象に残っている一冊をご紹介します。
梶村啓二さんの「野いばら」です。
何故この本を手に取ったのかはもう記憶にありません。おそらく題名に惹かれたのだと思います。
幕末を舞台に、英国軍人と日本女性との心の通い合いを描いた作品です。恋のように見えますが、二人の間には何も起こりません。静かに流れる時が美しく、その静けさと野いばらのむせ返るような香りが2人の思いを象徴しているようです。
実はこの本は数人の友人にも回ってコスパの良い本でした(笑)。皆からは同じ質問が帰ってきました。「どうしてこの本を選んだの?」
人によっては盛り上がりもないので、つまらないと思うのかもしれません。でもこの小説のように何も起こらない恋物語はかえってドキドキします。
私はこんな風な静かに流れるような物語が好きです。
読書は知らず知らずの内に自分を豊かにしてくれる・・今の私もある程度これまで読んだ本によって作られているのでしょう。
そう思うと手に取った本とは何か運命の糸で繋がれているんだろうか?なんて考えてしまいます。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
自分への投資は惜しまずに。