最近はドラマを見るよりもオーディブルが楽しく感じられます。ただ、途中まで聞いてギブアップするものも多くなりました。
作品選びもなかなか難しいです。3月は6作品です。
Audible版『神無月 』 | 宮部みゆき | Audible.co.jp
すぐに別世界に入り込めるその感覚が気持ちよかったです。
毎年一度、神無月になると起こる押し込み強盗の話。唯一の手がかりは現場に残された小豆一粒。そして今年もその神無月になり・・。
じわっと心にしみる良いお話でした。43分という短いものですが、その中に江戸の風情や人情がたっぷりと詰まっていて流石でした。
ナレーターの大杉漣さんの味のある声や語り口もその雰囲気を盛り上げてくれていて、夜の江戸の街にどっぷりと浸れた素晴らしい時間でした。余韻も残る心から楽しめた作品です。
◆夜明けのすべて 瀬尾まいこ ナレーター:松井暁波、吉野貴大
Audible版『夜明けのすべて 』 | 瀬尾 まいこ | Audible.co.jp
PMS(月経前症候群)、パニック障害を持つ二人が新しい就職先で同僚となり、お互いを理解して次第に助け合うようになる話。
知らないことを知るきっかけになり勉強になりました。聞きやすく登場人物が生き生きと感じられました。
二人は病気が原因で退職しましたが、新しい会社の先輩はとても理解のある人ばかりで理想的な職場。これは小説だから・・と感じる面もありました。
名前は聞いたことのある病気でしたが、具体的な症状などの知識はありませんでした。パニック障害があんなに辛いものだとは・・。とても具体的に丁寧に書かれていて、症状だけでなく本人の考えなども知ることも出来て良かったです。
生きていく上で人間関係はとても難しいものの一つ。お互いに理解しようとする気持ちが大切だと改めて考えさせられました。と同時に病気はまずは情報として知るということが大切。
希望も見える気持ちの良い終わり方で清々しく、読後感も良かったです。
◆犬を盗む 佐藤青南 ナレーター:加藤ルイ
Audible版『犬を盗む 』 | 佐藤 青南 | Audible.co.jp
一人暮らしの資産家の高齢女性が殺され、彼女の飼っていた犬が消えていた。犬はすでに死んでしまっていたと思われたが・・。
軽いミステリーとして楽しめました。犬のセリフもあって面白いなと思いました。
殺人事件の犯人に迫る中で愛犬家たちの犬への思いが描かれていましたが、それに少し驚きました。愛犬家の気持ちが少し過激に描かれ過ぎているような気もしましたが・・。
犯人を追う刑事も登場しますがミステリー色はそれほど濃くなく、緊迫感もあまり感じません。それでも最後にすべてが明らかになり、意外な人が犯人で驚きました。
なかなか面白かったと楽しく聞き終えましたが、振り返ると思いテーマもありました。思い込みによる噂やSNSでの誹謗中傷、それに乗っかる面白半分の人達、自分の利益だけを優先する人・・。考えさせられる部分もたくさんありました。
Audible版『いちねんかん 』 | 畠中 恵 | Audible.co.jp
とにかくすごく面白かった!こんなに楽しい物があるなんて、本当にありがたいです。
「しゃばけ」シリーズの第19弾で、いきなりこれから読んで理解出来るのか心配もありましたが問題なく楽しめました。
江戸の大店長崎屋の主人夫婦が旅に出るため、不在の一年間店を任されたひ弱な若旦那が奮闘する話。頼られる若旦那になりたいと頑張る姿にグッと来ました。
何よりも中村種之助さんの味のある語りで不思議な世界観がイメージしやすく本当に楽しかった。登場人物?が生き生きとしていました。
今後「しゃばけ」シリーズを順に聞いていきたいです。
◆Iの悲劇 米澤穂信 ナレーター:村上紀生
Audible版『Iの悲劇 』 | 米澤 穂信 | Audible.co.jp
住民がいなくなり今や死んでしまった村を再生しようとする市の「甦り課」の奮闘を描いた物語。移住者たちの間に発生する問題に向き合う公務員の日々を描いています。
章ごとに完結しているので短編として楽しむことが出来ます。ミステリー仕立てにもなっていて、謎解きとまではいきませんが面白く聞きました。
最後はとんでもないどんでん返しでびっくりしましたが、こういう現実もあるのかもしれないと納得してしまいました。悲しいことです。
理想と現実はやはり隔たりがあるのですね。
◆誰かがこの町で 佐野広美 ナレーター:宮瀬尚也
Audible版『誰かがこの町で 』 | 佐野 広実 | Audible.co.jp
住宅街で起こった19年前の事件の真実に迫るミステリー。
自治体?が組織立って行う嫌がらせや犯罪に恐ろしくなりました。怪しげな宗教ではありませんが、一種のマインドコントロールに近いのかなと感じました。
現在と過去が並行して描かれているので、初めは少し戸惑いました。後半に入ると展開も早くどんどん真実に近づく面白さで一気に聞き終えました。
実際にこんな事はないだろうと思いつつも、間違っていると思っても口に出せないということは往々にしてあります。考えさせられました。
最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。