ふくみみdiary

   一緒に楽しく

指先が凍る水の思い出〜花巻での体験

朝外に出たら空気が冷たい。寒くなりました。
私は寒いのは嫌いですが、頭がキーンとなるような空気の冷たさは嫌いではありません。頭が冴える感じで気持ちがいいです。

もちろんダルマのように着込みますが、顔に感じる冷たい空気が好きです。

家に戻って手を洗うと水も冷たい。室内の温度も11度。冬だぁとしみじみ感じました。

水といえば・・私が経験した今までで一番冷たかった水の話を。

学生の頃の話ですから今から40年以上前の話です。

どういう経緯でそうなったか覚えていませんが、花巻出身の知り合いSに誘われてお正月にそのご実家に遊びに行くことになりました。

お正月に誰かのお宅にお邪魔するなんて普通は迷惑千万な事だろうしやめるところですが、その時は成り行き?で行くことになりました。それも今考えてもそれほど親しい付き合いではなかった人の実家へ。

いいのかなぁと思いながらも、初めての花巻でワクワクしていたと思います。蓋を開けてみれば、私としてはかなり強烈な体験になりました。

まず驚いたのは夜の暗さ。
花巻までは確か電車で行き到着したのは夜。一足先にご実家に戻っていたSが迎えに来てくれていました。方向はわからないけれど、花巻の駅からかなり山の方へ向かったのだと思います。

駅を出発するとすぐに明かりもなく真っ暗になりました。暗いというより闇ですね。車のライトはあるけれど、周りは闇です。闇ってこういうことかと始めて知ったような気がします。街灯も無ければ、家の明かり一つ見えない道を進みました。

でもそのおかげか・・星が凄かった。車を降りてみると、降るようにたくさんの星が体を取り巻くように輝いていて息を飲みました。星ってこんなにたくさんあるの?と驚くと同時にものすごく感動しました。Sは東京とは全然違うでしょと自慢気でした。

ものすごく大きくて立派なご実家に到着して夕食をいただいた後、掘りごたつのある6畳くらいの部屋に移動。いうなれば二次会って感じでお酒を飲んだりして、そこでまた驚きの体験です。離れのようなその部屋の入り口は鍵はかけてないので、なぜかどんどん若い人が入ったり出たりします。Sいわく同級生やら近所の人やらだそう。

お正月だから家を離れている若い人も皆帰ってきていたんですね。私はSに「人気者だったんだね」というと「東京から人が来るなんて珍しいから皆興味津々で見に来てるんだよ」と言ってました。私は実は千葉からですけど、皆私をチェックしに来ていたらしい。

私はそんなに社交的では無いからなんだかムズムズしてました。時々あの人はどういう人?と聞くとSは「知らない。初めてあった」なんて言ってまた私を驚かせました。

知らない人が勝手に家に、それもこたつにまで入ってきて飲んで食べてワーワーいって帰っていくなんて私には考えられず、その無防備さというかおおらかさにカルチャーショック状態でした。

私の価値観さえも変えてしまうような初めての体験、楽しかったです。

そして翌朝、いよいよ水の登場。
朝台所に行くと、お母さんがココで顔洗ってと洗面器を用意してくれました。

もう少しでお湯がわくからと言ったお母さんに、私は水で大丈夫ですって言いました。いつも水で洗ってますからって。

認識不足も甚だしい・・水じゃ無理でしょというお母さんを遮って、洗面器に水を貯めて指先を入れると・・想像を絶する氷の冷たさでした。一瞬にして体中が凍るような冷たさ、もう手は入れられない!その様子を見ていたお母さんは笑いながらお湯を足してくれました。

毎日こんな冷たい水と対している人達がいて、何もかも東京都は違う世界だなと実感しました。

今思うとそういう環境で子供の頃から過ごした人は、都会でのほほんと過ごした人とはやっぱりどこか覚悟のようなところで違うのではないかなと思ったりします。

私にとって貴重な体験でした。そして良い思い出です。

今はSとは繋がりもなく、どうしているかなと時々思います。

実はお父さんの職業を尋ねた時、Sは「雉取り」と言ってました。え!?とびっくり。そういう仕事があるのも知らなかった。職業ハンターということでしょうか?詳しく聞かなかったので今でも謎です。

私としては冒険的な体験、知ると知らないとでは大違いだなと実感できた旅行でした。もう一度あの星空を見たいなと思いますし、あの冷たい水も懐かしく思い出します。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。

無理せずお過ごしください。
では、また。