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韓国ドラマ「夫婦の世界」感想〜夫婦とは何?衝撃のジェットコースタードラマ

「夫婦の世界」 原題:부부의세계  2020年  JTBC

★★★★☆

単なる不倫のドラマと思いきや、なんだかすごく恐ろしい展開でした。最初から最後まで衝撃の連続で、飽きさせないストーリーです。

疑うということでだんだん壊れていく人間の様子が克明に描かれ、また実力のある俳優たちによる迫力のある演技で回を追うごとに引き込まれました。

愛憎劇の中でもその感情の強烈さや心理描写の生々しさで今までのドラマとは別物の感じです。

イギリスのBBCドラマ「女医フォスター 夫の情事、私の決断」のリメイク作品。

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画像:wikitree.co.kr

チ・ソヌ(キム・ヒエ)=精神科医
イ・テオ(パク・へジュン)=映画監督
ヨ・ダギョン(ハン・ソヒ)=テオの不倫相手
ソル・ミョンスク(チェ・グキ)=ソヌの同僚、産婦人科

女医のチ・ソヌは仕事も順調で家庭でも優しい夫と息子に恵まれ完璧な日々を送っていた。

しかし夫テオのマフラーにあった長い髪一本で夫の浮気を疑うようになり、このときから彼女の生活は一変してしまう。

そして尾行の末突き止めた浮気相手のダギョンがソヌの診察を受けに来ると妊娠が発覚。

ソヌは夫に「女がいるでしょ?」と直接問いただす。

韓国ドラマ「夫婦の世界」 | BS朝日

以下ネタバレあります。

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まず、舞台になっているコサン市は架空の市です。撮影は京畿道平沢(ピョンテク)にあるアメリカ人村だそうです。

立派でステキな家が立ち並ぶ住宅街ですが、平沢にある米軍に所属する軍人とその家族を対象にして賃貸をしているところです。

「夫婦の世界」の舞台、「コサン市」はどこにある? | 韓国の芸能ニュース|韓国旅行「コネスト」

ストーリーは、とにかく最初から背筋が寒くなるような恐ろしい展開、早くもクライマックスのようで、こんなに飛ばしてこの先大丈夫なのかと心配になるほどでした。

この加速度のついたような息もつかせぬ展開が最後までつづき、迫力のあるドラマになっています。

私はとにかくソヌの夫のテオが大嫌いでした(好きな人はいないと思います)。このヒモまがいのクズ男は許せません。

シラッと嘘もつける、何かしでかすとすがりついてくるようなこんな男いますねぇ。見ていて本当に気分が悪くなりました。

このクズ男を見るためにこのドラマを見るというのも一興かも知れません。もうこの人しかテオ役はいないだろうと思わせる遅咲き名優パク・ヘジュンが見事です。

主人公のソヌ、髪の毛一本であんなに本格的に夫の浮気を疑ってしまうものでしょうか。すぐにどんどんと疑いの沼にハマっていくソヌが怖かったです。なにかに取り憑かれたようでした。

そしてテオの浮気を友人や同僚は皆知っていたということ、夫の浮気よりもショックだったかもしれません。ソヌの周りの人もなにか怪しい雰囲気でした。

しかし、ソヌもここまで事を大きくしなくても良かったのではと思ってしまいます。自分も隣人との情事に走ったり、感情的になって言わなくて良いこともダギョンにぶちまけたり・・。ただ意地を張って無鉄砲になっているようにしか見えませんでした。

自分が作る復讐の渦から抜け出せない様子が哀れでもありました。

ソヌは経済力もあるし一人でも問題ない、復讐など考えずに息子と一緒にどこか遠い地へ行けばよかった。なんでこんな簡単なことがわからなかったのか残念です。

最後までテオに情けをかけるようなところも理解出来ませんでした。結局ソヌがテオをこんな男にしてしまったのかもとも思いました。この人には私がいないと駄目なのなんて考えていたとしたら最悪です。

夫と愛人に一撃を加えたいという気持ちはわからないでもないですが、たくさんの人を巻き込んでの復讐は共感出来ず、私はソヌも好きにはなれませんでした。

とは言え、テオもダギョンも嫌いだったので、逆襲自体はちょっとスッキリするところもありましたが。

この夫婦はドライではなく、すごくウェットな関係に見えました。それが嘘っぽくて・・。ソヌにはそれが完璧に見えたんでしょうけど。

夫婦の形も皆同じではなくそれぞれ違いますが、2人で紡いできた歴史が夫婦を形作っていると考えると、2人の間にはとても深い何かがあるはず。それが絆でしょうか。

愛や縁を切ると言っても心の中から2人の歴史を全てを消すことなんて出来ないんじゃないでしょうか。子供がいればなおさらですね。

結局、夫婦が別れるってことは本当のところどういうことなのかなと考えさせられました。

このドラマで一番の被害者は息子。グレても仕方ないです。泣く思いをしながらテオのところから逃げてきた息子なのに、ソヌも息子の心の内を本当のところわかっていなかったのだと思います。

時々ソヌが自分のことしか考えていないようで息子が可哀想でしたし、女ではなく母親という自覚をもっと強く持てばこのような展開にはならなかったと思います。

この息子にはこの先明るく輝かしい人生を歩んで欲しいです。

しかし・・物語の最後は皆それぞれ前を向いて進んでいて、なんだかちょっと拍子抜け。丸く収まって良かったのですが、急速に尻すぼみでした(笑)。

面白いドラマか?と聞かれて、すごく面白かったとは言いにくい内容ですが、スピーディな展開とともに俳優たちの名演技を楽しめる作品となっています。

完成度が高く作品として素晴らしいのですが、楽しい気分で見られたところが全くなかったので★4にしました。

 

最後まで読んでくださってありがとうございます。
では、また。